231号(2016年08月)7ページ
スポットガイドだより①『5月15日ニホンザル』
5月15日・13:30より、ニホンザルのスポットガイドを行いました。
このニホンザル、実は様々な誤解?が多い動物であり、ポピュラーな存在の割にその実態が知られていません。その誤解の代表例である、いわゆる【群れのボスザル】ですが、はっきり申し上げてこれはオスではありません。と言うより、【ボスザルそのもの】が本当は存在しないのです。ニホンザルの群れとは事実上、メス達が複数支配している世界であり、だからこそ、そのメス達の【複数支配】という社会形態から考えれば【単体支配】はありえないので、そうした意味で群れの中心で全体を支配している単体の【ボスザル】は存在しないのです。もちろん、力関係や序列などで、中心的な立場になっている様に見える個体がいる場合はありますが、こうした個体もオスではなくてメスです。ただ、近頃の研究(あくまで一説ですが)によればα(アルファ)オスという存在が群れの中にいて、このオスが群れの内外のトラブルを回避したり調停役としての働きをしているらしいのですが、あえて人間的に表現すればこの 【役職?】のオスは、メス達に認められてこそ、このポジションに位置し、その等価交換として繁殖優先権を与えられている…つまり、群れの維持・繁殖の意味でいえば、事実上、辛辣な言い方になってしまいますがメス達に選択され使われているような存在らしいのです。おそらく、このαオスを昔の人間が見た時、ボス的存在に見えてしまったのでしょう。実際、仕事柄?大変アクティブに活動しなければならないので、人間から見れば、結果的にやたらに目立ちますし。
そう…この事実は雌雄、メスとオスの区別がある、他の生物達にもそのまま当てはまり、群れである限り(あるいは群れでなくても)、それを事実上支配~コントロールしているのはメスであり(人間がどうかは知りませんが…)この星の生態系のシステムは、全てにおいてメスを中心に機能しています。
こうした事実も含んで解説・説明をした今回のニホンザルのスポットガイド…皆さん、大変驚かれていました。
昔から言われていて、皆、それが当たり前だと思い込んでいる事柄が、実は間違っていた!…というより、まったく正反対だった!情報化が進んだ現在、こうした事例が増えているような気がします。
(飼育係 長谷川 裕)