でっきぶらし(News Paper)

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214号(2013年10月)5ページ

≪病院だより≫フレンチネイルのゴンちゃん No1

 ふれあい動物園にはポニーのポン、チェリー、ロバのゴン、ウマのレベッカが暮らしています。ウマのレベッカは幼児教室や週末祝日に人気の乗馬のお仕事を持っています。レベッカ一頭で忙しい日には、ベテランのチェリーもお手伝いをします。
 ウマのレベッカはふれあい動物園が全面オープンした昨年の春に、この5月に亡くなったポニーのポエムの後継馬としてやってきました。まだ5歳、人間でいえば高校生くらいの元気でたまらないお年頃です。これまでふれあい動物園では乗馬用にポニーを飼育し、チェリーやポエムが長年活躍してきました。体が大きくやんちゃなレベッカを乗馬ウマとして迎えるに当たり、ポニーとはまた違った性質を持つウマを正しく飼育し、みなさんに安心して乗馬を楽しんでもらえるようにふれあい動物園の飼育員達は定期的に勉強会を開くことになりました。
 先生は二人別々に来園してくれます。一人目はウマのインストラクター。乗馬クラブからやってきてくれます。レベッカのために調馬索という乗馬前の準備運動を指導してくれています。人間が長いヒモをもって馬場の中心に立ち、自分の周りをウマにグルグル走らせる運動方法です。ふれあいの時間の前など飼育員の周りをグルグル走るレベッカをみなさん見たことがあるでしょうか?アレがその調馬索。毎日欠かさず行っています。走る速度や止まるタイミングなど飼育員の指示に従うことで信頼関係を強め、適度な運動で体をほぐす目的があります。先生のお手本を見て、飼育員達も順番に実践するという勉強スタイル。ヒモの持ち方、目線、足の運び、自分の動き方にまずはみんな戸惑いながらのスタートでした。時間ギリギリまで先生からたくさんのアドバイスをもらって練習して、飼育員達もレベッカも感覚を体に叩き込みます。二人目の先生は装蹄師。サラブレッドなどに蹄鉄をはかせる仕事をする方です。レベッカは蹄鉄をはくほどの体の大きさや運動量ではないので、蹄鉄をはく前の作業の削蹄を行ってもらいます。ポニーやロバ達の削蹄はこれまで飼育員が手入れの一つとして行ってきました。体の大きいレベッカの削蹄はとても難しく、ウマの削蹄を専門とする人の力を借りることがレベッカの健康にとっても大切です。ウマやその仲間の動物にとって、蹄は全身の健康に影響する大切な場所です。レベッカだけでなく、ポニーもロバも定期削蹄は先生にお願いし、日常管理を飼育員がこれまで以上に丁寧に行う指導も受けました。
 さて、ロバのゴンちゃんは前足の蹄が変形したまま長年過ごしていました。私達だけでは改善できない状態だったのですが、先生の削蹄技術によって現在ゴンちゃんの足は少しずつ改善を始めています。骨や腱に負担にならないようにレントゲンを撮って確認しながら伸びすぎた後ろ側を削ります。(レントゲンの時にやっと私達獣医師の出番です。どちらの先生の勉強会も私達はビデオ係をしながら一緒に勉強です。)削るために持ち上げていた前足をゴンちゃんが下ろした瞬間、「おぉ~!!」みんなの声があがりました。ゴンちゃんの蹄のつき方が変わりました。「次回の削蹄までに、蹄の前側を伸ばして、このつき方での歩きに慣れるよう毎日運動をさせて。削った後ろ側は2週間に1回やすりをかけて。」先生から次回までの宿題をもらいました。「さて、どうやって伸ばそうかな・・」しばらく先生が考えて、「これでどうかな?」とゴンちゃんの蹄の前側にガムテープを重ねて数枚張りました。歩く時に自然に削れてしまうことを防ぐためのカバーの役割です。こういう時サラブレッドなどは強力なボンドで即席カバーを作るのだそうです。けれどゴンちゃんにはカバーが外れても日常管理の中で簡単にはり直しができる方法を先生は選んでくれました。「ゴンちゃん、フレンチネイルだね。」と私が言うと、この日、ウマのストレッチ法などを特別講義してくれた先生の奥さんが、「オシャレね。」と笑ってくれました。奥さんも素敵なネイルをしていました。
 フレンチネイルは毎日運動する度にはがれてしまうため、現在は治療に使うテーピング用のテープを蹄の周りにぐるりと巻いています。このテープはマレーバクの足の裏のお手入れでも使用するので、きっちり巻くと強力なことは経験済みです。オシャレ度は下がりますが、こういう工夫は獣医師の得意分野です。園内では日常、飼育員と獣医師が協力して動物達の健康を守り、予防や治療を行います。新たなインストラクター、装蹄師の協力は、私達に大きな刺激と向上心を与えてくれました。大ベテランの飼育員は勉強会の時はいつも誰よりも近くで先生の技術に食い入るし、若手飼育員は毎日さらなる改善点を考えます。手入れや運動の時間が増えて仕事が忙しくなっても、「レベッカやゴンちゃんのためです!」と汗だくの笑顔で取り組みます。動物達のためにと頑張る日々が来園者の笑顔につながっていくよう頑張ります。
 ちなみにフレンチネイルとは女性のマニキュアで

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