でっきぶらし(News Paper)

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214号(2013年10月)6ページ

≪病院だより≫フレンチネイルのゴンちゃん No2

 さて、ロバのゴンちゃんは前足の蹄が変形したまま長年過ごしていました。私達だけでは改善できない状態だったのですが、先生の削蹄技術によって現在ゴンちゃんの足は少しずつ改善を始めています。骨や腱に負担にならないようにレントゲンを撮って確認しながら伸びすぎた後ろ側を削ります。(レントゲンの時にやっと私達獣医師の出番です。どちらの先生の勉強会も私達はビデオ係をしながら一緒に勉強です。)削るために持ち上げていた前足をゴンちゃんが下ろした瞬間、「おぉ~!!」みんなの声があがりました。ゴンちゃんの蹄のつき方が変わりました。「次回の削蹄までに、蹄の前側を伸ばして、このつき方での歩きに慣れるよう毎日運動をさせて。削った後ろ側は2週間に1回やすりをかけて。」先生から次回までの宿題をもらいました。「さて、どうやって伸ばそうかな・・」しばらく先生が考えて、「これでどうかな?」とゴンちゃんの蹄の前側にガムテープを重ねて数枚張りました。歩く時に自然に削れてしまうことを防ぐためのカバーの役割です。こういう時サラブレッドなどは強力なボンドで即席カバーを作るのだそうです。けれどゴンちゃんにはカバーが外れても日常管理の中で簡単にはり直しができる方法を先生は選んでくれました。「ゴンちゃん、フレンチネイルだね。」と私が言うと、この日、ウマのストレッチ法などを特別講義してくれた先生の奥さんが、「オシャレね。」と笑ってくれました。奥さんも素敵なネイルをしていました。
 フレンチネイルは毎日運動する度にはがれてしまうため、現在は治療に使うテーピング用のテープを蹄の周りにぐるりと巻いています。このテープはマレーバクの足の裏のお手入れでも使用するので、きっちり巻くと強力なことは経験済みです。オシャレ度は下がりますが、こういう工夫は獣医師の得意分野です。園内では日常、飼育員と獣医師が協力して動物達の健康を守り、予防や治療を行います。新たなインストラクター、装蹄師の協力は、私達に大きな刺激と向上心を与えてくれました。大ベテランの飼育員は勉強会の時はいつも誰よりも近くで先生の技術に食い入るし、若手飼育員は毎日さらなる改善点を考えます。手入れや運動の時間が増えて仕事が忙しくなっても、「レベッカやゴンちゃんのためです!」と汗だくの笑顔で取り組みます。動物達のためにと頑張る日々が来園者の笑顔につながっていくよう頑張ります。
 ちなみにフレンチネイルとは女性のマニキュアで爪先だけ違う色を塗るスタイルのことを言います。毎日いろんな動物達と接する私や女子飼育員達は爪は短いし、手は荒れてるし・・・そのうち、「女子力アップの先生を呼ばなきゃいけないかなぁ。」なんて思われそうな日々です。

動物病院担当 長倉 綾子

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