215号(2013年12月)4ページ
どうやって見分けるの?
「あの子の名前はなんていうの?」ある日、私が飼育を担当しているヤギたちを見ていたお子さんから聞かれました。「ミルクちゃんっていうんだよ。女の子だよ。」私が答えると、「全員名前があるの?どうやって見分けるの?」と驚いた様子でした。
ふれあい動物園には現在、15頭のヤギが暮らしています。その一頭一頭に全て名前がついています。今となってはヤギたちの名前も顔もわかるようになりましたが、実はそれはつい最近のこと。私は今年の4月に動物園に来たばかりの新人飼育員で、最初のころはどの動物も全然見分けがつきませんでした。しかし動物園で働くにあたって、動物たちを見分けること(個体識別といいます)は、動物たちの健康や繁殖の管理などのために、とても大切なことです。まずは自分の担当するヤギたちの個体識別を完璧にしようと思いました。
さて、15頭のヤギたちには、からだの模様の違い、大きさ、角があるかないかなど、見分けるポイントがいろいろありますが、なにしろヤギたちはあちこち動き回るので、ゆっくり観察しているわけにもいきません。1頭ずつ写真を撮ってみましたが、そもそもどのヤギを撮ったのかわからなくなってしまうこともありました。特に6頭いる真っ白なヤギたちはなかなか見分けがつかず、首輪の色や名札でなんとか見分けていました。
しかし毎日接していると、見た目の違いだけでなく、性格の違いもなんとなくわかってきました。のんびり屋の子、臆病な子、気が強い子、いつも一緒にいる親子・・・ヤギたちを見ていると、人間と同じような動きや表情をすることもあり、とても面白いです。水を飲んでいるとき、むせてゴホゴホといっているヤギを見たときは、かわいそうでしたが思わず笑ってしまいました。そんな毎日の中で、だんだんとヤギたちに愛着がわいてきて、いつの間にか全頭ばっちり見分けがつくようになっていました。
日本平動物園には、ヤギ以外にもたくさんの動物がいますが、いつかここに住む動物たちみんなを見分けられる日が来るのかな?とわくわくしています。
動物園に遊びに来たお客さんたちにも、ぜひ動物たちのことをたくさん知ってもらいたいです。それぞれの動物の名前や性格がわかったら、もっと動物園が楽しくなるのではないでしょうか。
動物園で飼育員を見かけたら、ぜひ声をかけてみてください。「あの子の名前はなんていうの?」
飼育担当 川合 真梨子