でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 218号の2ページへ218号の4ページへ »

218号(2014年06月)3ページ

悠々自適の独身ライフ?

 フライングメガドームにはたくさんの種類の鳥たちがいます。フラミンゴやショウジョウトキ、カルガモといった鳥たちは、仲間がたくさんおりまして、仲間同士集まり群れを作って、メガドームでもどこにいるかすぐわかる、目立つ存在であります。しかし今回は、こういった鳥たちの陰に隠れがちで、図らずもメガドームには1羽しかいないものの、一人でも多くの来園者の目に留まるよう頑張っている「おひとりさま」たちを紹介したいと思います。
 では最初の「おひとりさま」のヒドリガモ(♂)を紹介いたします。おひとりさまの中では一番古株になりまして、2008年4月に左翼が怪我していたため保護されて、動物園にやってきました。元気になったものの飛ぶことができないので、動物園で飼育されることとなり、最初はフライングケージで、現在はフライングメガドームで元気に暮らしています。筆者よりも動物園歴が長く、昨今の動物園の移り変わりを見届けてきた(?)動物園の先輩となります。「ヒューイ」という可愛らしい鳴き声を出し、求愛のさえずりをするものの、1羽なので肝心のお相手がいないのです。最近ではカルガモのメスを追っかけるものの相手にされず逃げられるという日々を送っております。
 続きましての「おひとりさま」は、キンクロハジロ(♂)です。このキンクロハジロ、2012年11月に先ほどのヒドリガモ同様に保護で動物園にやってきた時は、まだ幼かったためかキンクロハジロのシンボルでもあります頭の後頭部から後ろにかけて伸びる冠羽(かんう)がまだ短く、キンクロハジロに似たスズガモだと思われておりました。しかし、見る見るうちに長い冠羽が伸びてまいりまして、今はどっからどうみてもキンクロハジロです。泳ぎが得意な反面、陸地を歩くのを苦手としています。それでも餌を求めて陸地を上がる時はよちよち歩きをしてとても可愛らしいのです。またカモの中でも魚をよく好み、ワカサギを投げてやると遠くの方からやってきては食べ、食べ終わるともう一匹をねだるようにその小さな口を大きく開けてアピールするのであります。
 最後の「おひとりさま」は、去年12月に加わった新入りのオオバン(性別不明)です。オオバンはカモのようですが、カモの仲間ではなくクイナの仲間になります。水かきではありませんが足の指にひだがついていているので、上手に泳ぐことができます。このオオバン、入ってきたばかりでまだ馴染むことができないのか、それとも真っ黒な羽毛で覆われているのがちょっと不気味で他の鳥たちが寄り付かないのかわかりませんが、朝、餌を撒いても他のカモたちと一緒に食べることはせず、遠巻きに様子を伺っては、彼らが食べ終わった後に、1羽だけ餌場にやってくるのです。たぶん控えめな性格の持ち主なんでしょうね。はやく動物園の生活になれて、他の鳥たちと仲良くしてもらえればと願うばかりであります。
 多種多様な鳥たちが織り成すフライングメガドームの中で、このように1羽でも他の鳥たちに負けじと存在が光り輝く彼ら(彼女ら)たち。ほとんどお目にかかることはないかもしれませんが、もし見かけることがあったらちょっと観察してやってください。

飼育係 山本 幸介

« 218号の2ページへ218号の4ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ