でっきぶらし(News Paper)

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218号(2014年06月)7ページ

スポットガイドだより

《4月20日 動物病院》

 今年度最初のスポットガイドは「動物病院」。当日はとても寒く、スポットガイド直前に小雨が降りだしてしまいましたが、それでも20名近くのお客様が集まって下さいました。
 ガイドの内容は、3班に分かれ動物病院の各部屋(解剖室・入院室・手術室)の説明を獣医師2名、動物病院の飼育担当者1名で行うというもの。その部屋の役割や動物病院では何を行っているかなどを説明しました。
 「解剖室」は飼育動物が死亡した際、何が原因で死亡したかを調べる部屋です。ここ日本平動物園の動物たちは「静岡市の備品」であり、動物が死亡した際には静岡市へ書類の提出が必要になります。その書類作成のため、そして他の動物にうつってしまうような伝染性の病気に罹っていなかったかなどを調べるためにこの部屋を利用し、解剖します。解剖しただけでは原因が分からない場合、内臓などを病理の検査に出すこともあります。そしてここで解剖された動物はその後の教育に役立てるため、標本として残しておくこともあるのです。当日はトラの頭骨・ダチョウの卵・バーバリシープの角など、実際に触れたり間近で見ることもできました。ダチョウの卵は中身を抜いて本物の卵と同じ重さの砂を入れてありましたが、その重さに驚かれた方もいたようです。
 「入院室」は動物が病気に罹ったりケガをしたとき、また数が増えすぎて部屋のスペースがなくなってしまった動物たちを収容している部屋です。それだけでなく日本平動物園にお嫁さんまたはお婿さんとして新しく迎えられた動物が、お見合いをする場にもなります。この入院室で、時間をかけて少しずつお互いに慣れていくのです。当日、この部屋にいたプレーリードッグは、繁殖のため他園から日本平動物園にやってきましたが、ここにいる他のプレーリードッグときょうだい関係があることがわかり、交配できないということで入院室にいました。早く相手が見つかるといいですね。そしてお客さんをみても怖がらず近くに寄ってきたエリマキキツネザルは、人工哺育で育ったため人懐っこいようです。また、鳥やサルなどの動物たちにエサとして与えているミルワームという虫を見て顔をしかめるなど、お客さんの反応が一番見られた部屋でした。ちなみに入院室に収容されている動物たちのエサは動物病院の飼育担当者が動物のサイズに合わせて切ってあげています。
 「手術室」では手作りのタモ、多くの秤、動物に使用する薬、吹き矢など主に動物を捕獲したり治療する際に使用する道具を見せてもらいました。秤がなぜ、そんなに多くあるのかというと、小さなものから大きなものまで、大小様々な動物の体重を量るためです。体重がg(グラム)なのか、kg(キログラム)なのかで薬の量は変わってきます。体重測定は重要な役割を持っているのです。ゾウの体重測定は年1回、大きな体重計で測定しますが、動物病院内では測定できないので、ゾウの展示場で行っています。トラなど近づくことが危険な動物には吹き矢で麻酔をかけ、眠らせてからその場で処置をします。このように動物園の獣医師は、病院内だけでなくその動物の大きさや状態によって、動物の寝室で処置を行う場合もあるのです。そして治療をするうえで欠かせないもの、動物がケガや病気になった際に使う「薬」も動物病院にはたくさんあります。ここで使用している薬は人間・ペット・家畜用の薬で、獣医師がその動物に合ったものを使用しています。この手術室では普段見られない処置道具や薬を見ることができ、たくさんの質問がありました。
 今年度最初のスポットガイドは、あいにくの天気となってしまいましたが、無事に終了することができました。参加していただいた皆様、ありがとうございました。

ZOOスポットガイド班 宮田 鮎美

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