でっきぶらし(News Paper)

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221号(2014年12月)7ページ

スポットガイドだより No.2

《10月19日 ダチョウ》

 2つの大型台風が過ぎ去り、朝晩は肌寒くなってきた10月19日、ダチョウのスポットガイドが行われました。ダチョウと言えば、飛べない鳥、大きな卵を産むことなどで広く知られていますが、ダチョウを見るために動物園へいらっしゃる方はあまり多くないでしょう。今回は、そんなちょっと脇役のダチョウに関するお話でした。
 まず、我々が動物園で見ているダチョウは、アフリカを走りまわっている野生のダチョウとは異なることをご存じでしょうか。野生のダチョウは1種しかいませんが、細かく見るとレッドネック系(北アフリカダチョウとマサイダチョウ)とブルーネック系(南アフリカダチョウとソマリアダチョウ)の4亜種に分けられます。19世紀後半、南アフリカ共和国においてこれら4亜種が交配・育成され、新たにアフリカンブラックという改良種が誕生しました。実は日本の動物園で飼育されているダチョウは、ほとんどがこのアフリカンブラックなのだそうです。つまり我々が動物園で見ているのは家畜化されたダチョウなのです。アフリカンブラックは、野生のダチョウに比べて小柄で早熟、大人しくて飼いやすい、産卵数が多い、羽や皮革の品質が良いなどの特徴があり、様々な用途に利用・研究されています。
 パネルを使った解説の後は、実際にダチョウにエサを与えながらガイドが行われました。ダチョウは緑色の葉物野菜を好み、飼育員が小松菜を見せると勢いよくつつき始めました。それだけでもなかなかの迫力なのですが、ダチョウがエサを食べている時にぜひ注目して欲しいポイントがあります。それは首です。エサを食べているダチョウの首をよく見ていると、首の片側が膨らみ、徐々に下へ降りていくのが確認できます。食べたエサは食道を通って胃へ送られますが、ダチョウの食道は首の右側にあるので、飲み込む様子がよくわかるのです。このように、注目するポイントを知っていると、動物園で動物を観察する楽しさは何倍にも膨らみます。「なんだダチョウか…」と通り過ぎずに、少し足を止めて観察してみて下さい。あなたの知らなったダチョウに出会えると思います。

飼育係 横山 卓志

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