でっきぶらし(News Paper)

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222号(2015年02月)3ページ

小型サル舎の飼育

 春夏秋冬、時の流れは早いものです。飼育作業を通しながら、季節の移り変わりを味わいます。薄モモ色に咲く花の色であったり、大合唱の昆虫の鳴き声であったり、湿っぽい土の匂いであったり、動物に与える旬な果物であったりと、目で感じ、耳で感じ、鼻で感じ、口で感じ、あっという間に一年が過ぎていきます。毎日同じようなこと、繰り返しているようですが、微妙に少しずつ変化が見えます。小型サル舎には、約六十頭ものサルたちを飼育展示しています。これはおそらく、日本全国においても、これだけ豊富な種の小型サルを飼育管理しているのは、ここ、日本平動物園だけではないでしょうか。ご承知かもしれませんが、これはやはり繁殖が良好であることも影響しているのではないでしょうか。そのような環境を整えていくには、動物が健康な体であることはもちろん、ペアの相性が良好であること。そして、我々の飼育サポート、獣医師のサポートが、万全であることが礎(いしずえ)となります。その上で、小型サルたちの飼育環境を少しでも快適に改めていくことが大事なのです。飼育作業は細かく、時間に追われて骨の折れるようなことも時にはありますが、彼らが生き生きと過ごしたり、また、のんびり日光浴をしている姿を見ると、疲れた感覚もすーっと消えうせ、安堵にかわります。おかげさまで、今年も各種で繁殖が多くみられました。ワオキツネザル一頭、リスザル一頭、アカテタマリン二頭、クロミミマーモセット一頭、ピグミーマーモセット一頭です。これほど多くの赤ちゃんが、生まれてくれたのは、きっとそれぞれの動物たちが、今の環境を少しずつ受け入れてくれたことと認識しています。母親と父親に育てられている赤ちゃんたちは、よく確認して見ないと、気づきにくいほど小さくて、親のお腹や胸にくっついて、過ごしています。小さな手や足で、親の体をギュッとつかみ、振り落とされることもなく、また、目は開かなくとも母親の乳房をさぐり、飲みながら育っていきます。どの種においても赤ちゃんは、本当に可愛いです。ここに飼育作業のやりがいを感じることは言うまでもありません。動物園では、種の保存を旗印に、各飼育担当で努力奮闘を繰り返していますが、同じく小型サルも種を絶やさぬよう、彼らがこれからも健康であり、繁殖も無事にできるような場所作りに励みたいと思います。そして、サルたちが元気で過ごしている姿を、これからも、来園者の方々へお届けしていきたいと思います。

飼育係 青木 みつお

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