でっきぶらし(News Paper)

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223号(2015年04月)2ページ

ふれあい動物園とプレーリードッグ

 以前プレーリードッグがいた場所は、「子供動物園」と呼ばれ現在遊園地がある場所にありました。それが日本平動物園の再整備計画に伴い、子供動物園から元遊園地があった場所に移転して名前も「ふれあい動物園」と変更になりました。
新しい「ふれあい動物園」は、設計のときに名前のとおり「ふれあい動物園の中にいる動物はすべてふれあいができるようにしよう。」というのが基本コンセプトでした。
 しかし、プレーリードッグだけは違いました。当時子供動物園の班員の中でも、随分議論が分かれました。というのも、プレーリードッグ舎の前では毎日「かわいい~~!」と大歓声が上がるほどの超人気者なのです。新しい「ふれあい動物園」で飼育しないと飼う場所がなく、日本平動物園からプレーリードッグがいなくなってしまうのです。「それはもったいないし、寂しいし、お客さんもすごくがっかりする。」と言うのが賛成派の意見でした。また反対派は、「いや、プレーリードッグはお客さんにはふれあいができないので、みんなで決めた『全部の動物をふれあえるようにする』という基本構想がくずれてしまう。」と言う意見でした。
 でもさまざまな議論の末、結局「他の場所で飼うことができるならいいけど、いなくなってしまうのは寂しすぎる。」という意見でまとまり、ふれあい動物園で例外として飼育することが決まったのでした。そのおかげでプレーリードッグ舎の前では、今でも毎日「かわいい~~!」の大合唱が続いています。
 現在、飼育している個体は3頭で、オスの「ゴロリ」、メスの「ブブ」と「ビビ」です。メスの2頭は双子の姉妹です。ビビがお姉さんでブブが妹です。2012年4月千葉市動物公園生まれです。2頭は性格が随分違って、お姉さんのビビは名前のとおり「ビビリ」でとても臆病です。反対に妹のブブは好奇心旺盛でいたずら好きです。掃除するために部屋に入るとビビは真っ先にどこかに隠れますが、ブブも一度は隠れるのですが隠れたところからこちらを伺っていて、ほうきを噛んだり、ちりとりを引っ張って行こうとしたりして掃除の邪魔をするのです。また、時々は自分の長靴を噛みに来ていたずらをします。オスのゴロリも2012年5月千葉市動物公園生まれです。ゴロリもビビよりも「ビビリ」ですぐに隠れてなかなか出てこないのですが、やっとこの頃自分の手からペレットを取って食べるようになり、少しずつ馴れてきました。
 プレーリードッグの繁殖期は冬で1月~3月が交尾期、妊娠期間は約1ヶ月、出産後育児が1~2ヶ月くらいなのです。3頭とも若い個体なので何とか繁殖をして欲しいと、今いろいろな取り組みをしているところです。まずは巣箱です。動物園の営繕係にお願いして3階建ての巣箱(幅80×奥行き40×高さ75cm)を作ってもらいました。中は迷路のように穴が開いていて、1階から3階まで小さな穴をくぐってさまざまな部屋に移動できるようにしてあります。それだけでは狭いかもしれないと思い、大きめのペットケージの周りをベニヤで目隠しをして巣箱の後ろにくっつけました。巣箱の中には乾草を敷き詰めてあります。3頭とも気に入ってくれたのか、すぐに中に入ってなかなか出てきません。日中は巣箱に入りっぱなしだとお客さんから見えないので、日中は入り口を締め切るようにしていますが、巣箱に入りたいのか3頭交代で入り口の板をガジガジと盛んにかじっています。
 3頭とも仲はとてもいいので、何とか繁殖できるように工夫をしながら期待を込めて見守って行きたいと思います。


飼育係 鈴木 和明

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