224号(2015年06月)6ページ
スポットガイドだより
《3月15日 アメリカバイソン》
少しずつ暖かくなり、昼間の作業では軽く汗ばむような陽気になってきた3月15日、完成して2週間ほどの真新しいアメリカバイソン舎でスポットガイドが行われました。
日本平動物園の旧バイソン舎は、1969年(昭和44年)の開園に合わせて建てられたものでした。木造平屋建てのシンプルな構造でしたが、外壁にはツタが茂っていたり、放飼場のモートへ降りる階段には木目があしらわれていたりと、なかなか洒落た造りで味のある獣舎でした。しかし、新ホッキョクグマ舎を建設するため、バイソン舎も建て直すことになり、昨年6月より建設工事が行われていました。その間、2頭のバイソン(マックとモモ)は群馬サファリパークで預かってもらっていました。
今回のガイドでは、個体の紹介や野生のバイソンの話、紙芝居と、盛りだくさんの内容でした。飼育担当者がバイソンを預かってもらっている群馬サファリパークへ会いに行った時の話もありました。飼育担当者が声をかけると、マックとモモはしっかり反応してくれたようです。後半には、バイソンに葉っぱのプレゼントをする機会もあり、元気よく手を挙げた子供たちがバイソンに直接葉っぱを与えていました。新アメリカバイソン舎は、旧バイソン舎よりだいぶ狭くなってしまいましたが、真上からバイソンを見下ろせるスポットや、エサやりイベントが出来るスポットも併設され、今までとは違った楽しみ方が出来ると思います。新しい獣舎に戻ってきたバイソンたちに、ぜひ会いに来てください。
飼育係 横山 卓志
《4月19日 動物病院》
4月19日(日)13:30より、日本平動物園の重要な施設である動物病院で、スポットガイドを開催しました。
当園によく訪れてくださる方々、または、この【でっきぶらし】をいつも読んで下さっている方々の中には御存知の方もいらっしゃる様ですが、毎月1回、当園で開催しているZOOスポットガイドは、4月には必ず、動物病院で行っています。…それは何故か?実は、私達飼育員は、例外もありますが原則として数年に一度、担当している動物が変更になり、しかもこれは他の多くの業種の方々と同じく4月1日から~と言う事になります。
つまり、簡略に御説明すれば、4月1日に新しい動物を担当する事になった場合、少なくとも1ヶ月以上経過しないと、とてもガイドができる状態にはなりません。動物についての飼育内容以外に、たくさんの業務内容を覚えなければならず、特に、まったく経験の無い動物の担当になったり、完全に【新人】の飼育員の場合、4月にスポットガイド担当になってしまうと、それこそウロ覚えで不安定なガイドになってしまうからです。
さて、動物病院のガイドでは、当然?獣医さん達が主にガイドを行います。そして、余程の事がない限り、例え古参の獣医師が何らかの理由で3月で動物病院を退き、4月に代わりの新しい獣医師が参入しても、基本的に別の古参の(古参、古参って言ってすみませんねぇ…)獣医師がそのまま動物病院配属になっているので、全体としてはガイドが可能なのです。
今回も、まさに、この状態でした。しかも、当園の動物病院は、大雑把な表現ですが、①処置室(手術室)②解剖室(標本室も入っています)③入院室(治療が必要な園内の動物以外に、他所で保護された動物達も収容されます)に分かれているのですが、今回は入院動物達の体調管理の関係で入院室の公開は見合わせ、①②のみの公開となったのです。つまり、2つのゾーンにガイドを絞り込まなければならない状態でした。
そんな事もあり、ガイド参加者の定員は20組に限らせていただき(それでも40人を超す参加希望の方々に集まっていただきました)、ガイドを開始しました。普段、一般の方々がまず絶対と言って良いくらい入れないエリアで、前述した2部屋に、2グループに分割した参加者の皆さんを時間差で御案内~熱心で分かり易い獣医さん達の解説を、皆さん、真剣に、そして時には笑い声も上げながら観覧していらっしゃいました。
一年に一度、問題がなければ必ず行う動物病院のスポットガイド。次は、来年の4月です。とてもとても、実りの多い、大成功のスポットガイドでした。
飼育係 長谷川 裕