でっきぶらし(News Paper)

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227号(2015年12月)3ページ

ハラハラドキドキ初体験

 「昨日の夜、お風呂に入った人~?」「はーい‼」いったい何の質問?と不思議に思うかもしれませんが、これはちゃんとした教育プログラムのワンシーンです。「ここの動物さんはみんなと違って毎日お風呂には入っていません。体が汚れたら自分で体をなめたり、砂浴びをしてきれいにしています。だからいっぱい動物さんとふれあったら最後に手を洗おうね。」
ふれあい動物園では幼稚園や保育園の年長さんを対象とした「幼児動物教室」を行っています。この教室は日本平動物園の開園と同じ頃から行っており40年近く続いている歴史ある教室です。
 今日も元気な子供がたくさんやってきます。飼育員も子供達に負けないくらい元気な挨拶!「今日はいろんな動物さんと仲良くなりましょう‼」教室のスタートです。「ちいさ~い、ふわふわ!」「噛むかな?」ヒヨコの抱っこでは手の中にすっぽり収まるサイズの小さなヒヨコを抱っこします。落とさない様に、でも強く握らない様にみんなドキドキです。最初は緊張で顔が強張っている子が多いですが、しばらくすると「ホッ」とした顔に変わり「寝てくれたよ、静かにしてあげよう」という声や「あったかいね、可愛い」という声が聞こえてきます。「思いやりの気持ちを持つこと。自分よりも弱い生き物は優しく大切にしてあげなくてはいけない」という事を一瞬で子供達に感じさせてしまうヒヨコは偉大な先生だなぁと思います。
 動物教室では他にもウサギの抱っこ、乗馬、ヤギにえさやり、鳴き声クイズ、ヘビと記念撮影等のプログラムを行っています。そんな中、、、「ひぃやあぁぁぁ‼」「うわー!」と1番叫び声が上がるのがヘビと記念撮影の時です。中にはヘビを見ただけで泣いてしまう子もいます。しかし「ヘビさん、触ったことある人~?」「…」ほとんどの子が初めてのようです。まずはヘビに対する先入観を解いてもらうべく、ヘビさんの紹介やどういう生き物なのか、どうやって触るのかを説明してヘビさんの事を知ってもらいます。
そして記念撮影開始、怖がりながらも抱っこしてヘビの体をまじまじと見つめる子や興奮してもっと触りたがる子、最後まで泣きながら逃げようとする子と様々です。怖がる子に「じゃあ指1本でワンタッチだけでもしてごらん」と言うと、触ってみて「あれ?」といった表情になります。「意外とサラサラしていて気持ちいいでしょ?おめめも真ん丸で可愛いでしょ?」勇気を出して新しい発見をした子供達に最後に「ヘビさんどうだった?」と聞くと「すごかったー‼気持ちよかった!」「さわれたよ‼」という叫び声に変わっていました。
 動物教室は「動物と直接ふれあうことで命の温かさを感じてもらい、自分とは違う様々な生き物への接し方や思いやりの心を学んでもらう」というねらいがありますが、同時に子供達の成長の場であり、思い出の場であると思います。これから大きくなって自分の人生を進んでいく中で少しでも、日本平動物園でのこの体験が大切なものになってくれたらいいなと願っています。

飼育係 照屋 景

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