でっきぶらし(News Paper)

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228号(2016年02月)6ページ

スポットガイドだより①~夜行性動物館~

スポットガイドだより① 11月15日夜行性動物館

11月15日・13:30より、夜行性動物館のZOOスポットガイドを行いました。
 言うまでもないかも知れませんが、夜行性~と謳っている様に、この館内は昼間に来てくださっても基本的に全体を薄暗くしてあります。これは、照明を調整して昼夜を逆転させてある為で、こうしないと暗くなってから活動を始める動物達…この館内に居る動物達が動いている姿を昼の時間帯に皆さんに御覧いただけないからです。ちなみに、館内の照明の設定は、午前9:30から夜モードに、午後の14:10から昼モードになる様になっています。大体このくらいの時間サイクルが動物達にはちょうど良いと判断して、毎日、暗くしたり明るくしたりを繰り返しています。
 さて、今回のガイドは、夜行性館の入り口から参加者の方々に入館していただき、入ってすぐ右側にいるルーセットオオコウモリから順番に説明~レッサースローロリス・ハリネズミ・フタユビナマケモノ・オオガラゴ・フェネック・ムササビ・ツチブタ・オオコノハズク・ハクビシン・フクロウの順で解説を行いました。…解説を行いましたが、実はこの夜行性館、一般の方々があまり御存知ない、ある事実を御話するには絶好?の施設でした。
 それは何か?…皆さん【和名・わめい】という言葉を知っていますか?
 簡単に表現すれば動物等に(生物等に)冠されている日本名、つまり日本で正式に付けられている動物名の事ですが、この和名、ストレートに申し上げればかなり奇妙なものがあり、しかもそれが少なくないのです。
 今回のガイドの会場になった夜行性館には、まさにこの典型と言える動物達がいます。まず、ハリネズミ。これ、ネズミではありません。現段階ではモグラの仲間に類されています。もちろん、ネズミとモグラは別の生物です。でも、ネズミと名が付いてしまっている…更に、ナマケモノですが、この動物をこんな名前でまだ正式に呼んでいる国は多くないと思います。だいたい、このナマケモノと名付けられた動物は本気になったら凄く早く動くし、非常に上手に泳げるので、そこそこの河川なら泳いで渡ってしまいます。要するに、まったく【怠け者】ではないし、本当に【怠けて】いるなら、自然界では生きていけません。自然界はそんなに甘くはありませんから。この段階で【ナマケモノ】という名が、いかに変か御判りいただけると思います。
 極め付きはツチブタです。賢明な読者の方なら、もうお気付きでしょう。この動物、ブタではありません。まったくブタとは違う生き物で、厄介?な事に地球上で一種類しか存在しません。同じ仲間も近い仲間も、この世界にはいません。その動物にブタと名付けてしまったので…『じゃあ、この動物は何だ?』と尋ねられれば『ツチブタです』、と御答えするしかないのですが、何をどう迂回して考えても『ブタじゃない!』。重複しますが、こうした和名の変てこさは、本当に少なくないのです(動物・植物・昆虫・魚類…多岐にわたります)。どうしてこんな事態になってしまったかといえば、殆どの場合、昔の海外の俗名等を、やっぱり昔の日本人が、よく知らないで直訳してつけてしまった~このパターンが結構あるみたいです。しかも一度、和名として正式に名付けてしまうと、まず変更できません。正しくないのが判っていながら、簡単には変えられないのです。
 今回のガイド、こうした逸話を中心に解説をおこなったので、参加者の皆さんは笑ったり呆れたり驚いたり、忙しかった?と思います。皆さん、御疲れ様でした。
(飼育係 長谷川 裕)

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