239号(2017年12月)5ページ
実習生だより
私が日本平動物園でのインターンシップに参加したきっかけは、野生動物医学会という学会で出会った先輩に実習を勧められたことでした。私はもともと野生動物に興味があり、将来は野生動物と関わる仕事に就きたいと考えています。そのため、動物園で動物の扱い方や飼育環境を学びそうした知識や経験を将来の仕事に生かしたいと考え、動物園での実習を決めました。
実習内容はチンパンジーとオランウータンの飼育舎の掃除、餌あげや、カモなどの水禽類の餌作り等でした。こうした作業は実習に行く前でもなんとなく想像できるものでしたが、これらの作業に加えて堆肥作りや木を伐る作業があり、こちらは実習前までは飼育員の作業としては想像していませんでした。
まず、堆肥作りは毎日大量に発生する動物の糞を発酵槽に入れるというものでした。できた堆肥は横に積んでおき、近くの農家さんに引き取ってもらうようでした。次に、木を伐ることについてです。日本平動物園にはフライングメガドームという主に鳥類を放し飼いにしている大きな展示室があり、その中には沢山の木が植えられています。こうした木が伸びてきていたため、飼育員の方と一緒にのこぎりやはさみで木を伐りました。汗だくになってしまいましたが、少しすっきりしたケージ内を見ると達成感がありました。
基本的に実習中は飼育員の方が一対一でついてくださっていたので、作業中や休憩中に様々なお話を伺うことができました。動物はもちろん、動物園の歴史まで様々な分野の知識があり、飼育員の方の博覧強記ぶりには驚かされました。また、会話の中で獣舎の設計にも関わっているということも知り、先ほど述べた作業も含めて飼育員の作業領域の広さを知ることができました。
一方、私は獣医学科の学生であり、その旨を飼育員の方にお話ししたところ、フラミンゴの解剖に立ち会わせていただけることになりました。私はまだ獣医学科の低学年であり、病変などわからないことばかりでした。しかし、鳥類の基本的な解剖学は学んでいるので、滅多に見ることができないフラミンゴの解剖の過程を観察でき、大変勉強になりました。
私が希望している野生動物に関わる仕事は数が少なく、待遇も恵まれていないものがほとんどです。動物園の獣医師に関しても、公立であれば公務員になったからといって、必ずなれるわけではありません。しかし、獣医師の方も動物園では一日も退屈な日はないとおっしゃっている通り、やはり様々な動物がいる環境で働くことはエキサイティングであり、私もこうした現場で働きたいと決意を新たにしました。実習は体力のいる仕事が多かったですが、様々な仕事があり、終えてみると短く感じました。有意義な時間を本当にありがとうございました。そして、大変お世話になりました。