でっきぶらし(News Paper)

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254号(2020年06月)6ページ

実習生だより

 2019年8月14日、15日の二日間、教員の社会体験研修として、日本平動物園の実習をさせていただきました。どうして動物園を選択したのかは、一番は動物園が好きで興味があったからという単純な理由です。小さいころから動物が好きで、大人になってからも、日本平動物園へ子どもを連れてよく遊びに来させていただいていました。社会体験をさせていただけることが決まってから、楽しみな気持ちでいっぱいでしたが、類人猿班という連絡を受け、少しだけ不安も感じていました。
 実習当日は、台風の接近に伴い、雨が降ったり晴れ間が出たりする不安定な天候でした。類人猿班と聞いていましたが「まずはシロサイ舎へ」ということで向かうと、担当の飼育員さんから、他の飼育員の休暇等の関係から、自分の担当以外の動物も任され、いくつかを兼任しているという話を伺いました。実際に1日目の実習では、シロサイ舎の掃除と夕飯の支度が済んだら、バク、アクシスジカ、それからチンパンジー、それぞれの部屋の掃除やご飯の支度を次から次へと行う大変さと責任の重さを感じました。はじめのシロサイ舎の掃除だけでも体の水分が全部噴き出るのでは…と感じるほどの汗をかく重労働でしたが、動物たちが夕方に気持ちよく過ごせたらいいなと思いを馳せることで頑張れました。
 実習中、担当の飼育員さんからの「主役は動物たち」という言葉がとても深いところに刺さりました。動物園の動物たちが、のびのびと生活できるように、そして、一日でも長く生きられるようにするために、日々を大切にしていきたいというお話を聞いた時に、とても感銘を受けました。同時に、教育という仕事とも共通する思いがあると感じ、自分の見ている子たちをのびのびと伸ばしていけるように日々を大切にしたいと感じました。
 2日目の実習では、小型サル、ワラビー、オランウータンのそれぞれの部屋の掃除や食事の支度を担当させていただきました。特に小型サルの方では、複数の種類のサルや展示室ごとの個体数も違うのに全部把握されていることに専門性を感じました。食事の支度に関しても、分量の違いや渡し方なども、担当の飼育員さんに的確に教えていただくことでなんとかできましたが、これを覚えてできるようになるには、とても大変なことだと感じました。また、天候の変化により動物たちの体調管理の面から、展示の仕方を変えたりケアをしたりするなど、臨機応変な対応をされていることにより、動物たちへの配慮を第一に考えてくださる飼育員さんたちのおかげで、動物園が成り立っているということを感じました。
 実習前、少しだけ不安に感じていた類人猿たちとのふれあいでしたが、1日目はもう少しで2歳になるチンパンジーのげんき、2日目はボルネオオランウータンのジュンとミンピーのお世話をさせていただき、とても癒されました。私がお世話をさせていただいた部分は断片的で、本当の大変さを知るまでには至りませんでしたが、直接関われる機会をいただけたことは貴重な体験で、とても感動的でした。
 最後になりましたが、大変お忙しい中、社会体験を引き受けてくださり、お時間を割いて細やかなことまで教えていただき、本当にありがとうございました。今回の実習をさせていただいたことで、動物たちの個性を捉えることや、動物たちの今の一瞬だけでなく未来のことに対しても責任を持ち、日々のお世話をする大切さという点で共感し、自分の仕事に対する責任感や日々の大切さを強く感じることができました。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
 休日に、また家族で動物たちに会いに行きたいと思います。

(田中 佳世)

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