でっきぶらし(News Paper)

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50号(1986年04月)8ページ

動物園の一年(前編)◎九月 オオガラゴの出産、ナマケグマの病変他

十四日、オオガラゴが待望の出産。他のサル類と違って一風変わった育児光景を見せてくれました。というのは、たいていのサルの母親は胸にしっかり抱いて離さないのに、原猿類に属するオオガラゴは、自らの巣に子を置いて行動するのです。
更につけ加えるなら、社会性が乏しく雄と同居させられない難点をも持っています。前回はその為に、雄に子を奪われ、食殺されてしまいました。今回はその失敗に懲りて、別居させたことによっての成功でした。
ナマケグマの雄の様子がおかしい、次第に好物のハチミツすらも舐めなくなった、と下旬辺りより、そんな話が頻繁に聞かれるようになりました。せっかく親子睦まじい光景を繰り広げるようになっていたのにです。
この段階で不治の病「ガン」に冒されていたと、誰が想像できたでしょう。ただ「食べない、食べない、どんどんやせてゆく」の話が繰り返されるだけでした。そんな中で、某メーカーの栄養ドリンクをひたすら飲んでくれたことだけが、一時のせめてもの救いではありました。
ネコ科動物には育児放棄はつきもので、食殺を免れただけでも、場合によっては”よし”としなければなりません。それでも全てを唐ワえ万全を期して臨んだ側には、やはりやりきれないものがあるでしょうか。
当園二代目のヒョウの雌。どうも先行に不安を投げかけてくれます。せっかく巣箱を作ってあげたのに、利用せずその手前で出産。一頭は死産、もう一頭も冷たくなりかかっているところで発見。かろうじて人工哺育ながら大きくすることができました。
他、この月、比較的長く飼育していたマカロニペンギンが死亡。当園においては、この仲間の飼育成績は概してよくありません。
(松下憲行)

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