でっきぶらし(News Paper)

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262号(2021年10月)3ページ

「個性で見極めろ!群れ動物」

 皆さんは「群れ」で展示されている動物を見る時どのようなことを感じますか。群れならではの迫力を感じたり、顔の見分けがつくように観察してみたりと、単独で展示されている動物とは違った楽しみ方をしている方もいらっしゃるでしょう。今回は、そんな群れの動物について紹介します。

 私は今年度から、ふれあい動物園で飼育しているカピバラとプレーリードッグの担当になりました。正直「パッと見みんな同じ顔じゃないか…」と思ってしまいました。どちらの動物もモルモットやウサギのように模様がはっきりしているわけではないですし、インコのように大きな声でよく鳴き、鳴き声に明確な違いがあるわけではありません。個体の特徴と行動から、時間はかかりましたがようやく見分けがつくようになった担当動物について、2頭ずつピックアップして紹介したいと思います。

 まずはカピバラについてです。彼らは基本的に皆ボーっとしていて同じような顔をしていますが、動きに性格が現れる瞬間がありました。いつだと思いますか。それは餌の時間です。餌バケツを持ってパドックに入ると4頭とも待ってましたと言わんばかりに近づいてきます。ここからが性格がわかりやすい瞬間です。『ブナ』は飼育員の近くにいると確実に手渡しで餌を貰うことができると思っているのか、よく後ろをついてきます。そして対照的な子が『なめこ』です。『なめこ』は4頭の中でもビビりな性格をしています。1歩引いたところからジーっと無言で見つめてくるのが彼のアピール方法です。餌を与えるタイミングと重なったら、ただ食事風景を楽しむだけではなく、ぜひ彼らの個性を見極めてみてください。また違った角度から楽しむことができるかもしれません。

 次はプレーリードッグについてです。カピバラたちに比べるとアクティブに動くので、身体は小さいですが判別はしやすいように思います。特に『ムサシ』は怖いもの知らずで、飼育員が餌を持ってしゃがんでいようものなら、膝や肩に乗ってくるくらいグイグイと近づいてきます。また『チハル』は逃げ方に特徴があります。大きな物音や他の個体と喧嘩した際には、とても素早くまるでレーサーがドリフトをしたかのように急カーブを描いて隠れてしまいます。

 今回はふれあい動物園にいる2種の動物についてお話しましたが、当園には他にも群れで展示している動物がいます。ぜひ来園した際には「個性」にも着目して観察してみてください。きっとあっという間に時間が過ぎてしまうと思います。

(渡邉 昴子)

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