でっきぶらし(News Paper)

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267号(2022年08月)4ページ

「シャンティと歩んだ11年」

私とシャンティとの出会いは今から11年前のこと。飼育員になったばかりの私は、いきなりゾウの担当を任されることになりました。そこで、私の動物園生活のいわばパートナーになったのが、威風堂々としたダンボと、そのダンボを慕い少し甘えん坊気質の抜けないシャンティでした。初めてシャンティと同じ部屋の中に入ってその姿を目の当たりにした時の印象は、とにかくでかい。そして怖い。それが正直な感想でした。

私とシャンティが一番深く関わっていたのが昼のトレーニングの時間であり、少しでもシャンティとの距離を縮めたいと肩にも言葉にも力がこもってはいたものの、なかなかこちらの思うように動いてはくれず、先輩方との技術・経験の差をまざまざと実感しました。シャンティと過ごした日々の中では、試行錯誤や苦労したことも多かったように思います。しかし、今振り返ってみると良い事ばかりが思い出されるのはなんとも不思議なものです。硬くざらざらとした肌の質感。感情を表現してくれた大きな眼差し。だんだんと私の言葉を理解し体を動かしてくれたシャンティ。これらを担当飼育員として、直に経験できたことは私の貴重な財産となりました。みなさんの中にも、シャンティとの思い出をお持ちの方も多いと思います。元気な姿のシャンティに会うことはもう叶いませんが、シャンティとの思い出を心の中に残していただければ、担当飼育員としてはこれ以上の喜びはありません。

一頭になってしまったダンボの事は心配ではありますが、今日もいつもと変わらず元気な様子を見せてくれています。これからはシャンティの分までダンボの事を気にかけてお世話をしていこうと思います。  
       
(山本 幸介)

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