でっきぶらし(News Paper)

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273号(2023年08月)8ページ

スポットガイド 5月21日 小型サル

5月は『サキ』にスポットを当てました。みなさんはサキという動物を知っていますか?サキはアマゾン川の近くに生息している小型のサルです。野生では果物の種子を主食にしていて、ほとんど木の上から降りずに生活します。19種いるうち、当園ではヒゲサキとシロガオサキの2種を飼育しています。どちらも名前の通り、とっても特徴的な顔立ちをしているので、みなさんぜひ小型サル舎に実物を見に来てください!

ヒゲサキは顎にヒゲのように黒い体毛が生えています。展示しているのはオスの兄弟で、マイペースな兄のクミンと、柵をガンガンと音を立てて主張をアピールする、やんちゃな弟のチャパティです。エサの時間には大好きな殻付きピーナッツを両手いっぱいに抱えて頬張っていて、お互いに相手の手からピーナッツを奪い取ったりしますが、奪われても怒らず、ケンカもしない仲良しな兄弟です。

シロガオサキは体は真っ黒で、顔だけ白い毛で覆われています。展示しているのはオスのミツオです。28歳のおじいちゃんですが、まだまだ元気いっぱいです。お気に入りの巣箱の中で、のんびりすごしていることが多いので、見ることが出来たらラッキーです。実はシロガオサキの顔が白いのはオスのみで、メスは全身茶色です。オスとメスで全く体色が異なるため、比較してお見せしたいのですが、現在日本の動物園で飼育されているのはオス3頭のみで、メスを見ることはできません。オスのみで繁殖もできないため、その3頭が死んでしまったら日本の動物園からシロガオサキはいなくなってしまいます。

実はサルは近い将来、日本の動物園からいなくなってしまう種類が多いのです。なぜかというと昔はたくさんの動物たちが外国から日本に連れてこられていましたが、現在は規制があり、なかなか日本に連れてくることができません。規制されている主な理由2つあります。サルは生息地の開発や森林伐採によって多くの種が絶滅の危機に瀕しており、無闇に野生から捕獲して飼育することは絶滅を早めることになるためです。もう1つの理由は、サルは人間に近い動物のため、危険な病気を媒介してしまう可能性があるためです。現在日本にサルを輸入できる国は、エボラ出血熱やマールブルグ病が発生していない、たった8か国のみです。このため、生息地や海外の動物園から動物を輸入するのはかなり難しく、サルは種類も多いため、一部の種を除いては近い将来日本では見ることができなくなってしまうでしょう。サキたちはとっても個性豊かで見ていて飽きません。シロガオサキほどではありませんが、ヒゲサキもかなり飼育頭数が少ないので、日本で見られるうちに、ぜひサキをじっくりと見てください。

江林 奏絵

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