31号(1983年02月)7ページ
動物病院だより
「でっきぶらし」11号の病院だよりの欄で、確かホッキョクグマの出産観察のお話をしたと思います。結果は残念ながらカラ振り!観察中に何度か動作がいつもと違うのではと思った時もありました。なにしろ妊娠しているのかもわからない状態で観察しているのですから、気がもめるものです。こんな時、クマ語で「ねえ、赤ちゃんいるの?」と聞けたら助かりますよネ。
さて、ただ今、飼育課はチンパンジーの出産の為に、交代で朝7時、夜9時と0時と観察を続けています。
チンパンジーの場合、ヒトと同じく生理があります。デージーの生理が5月末にあった以降、みられなくなりました。「さては妊娠したかな?」と、担当の小野田飼育課員はニンマリ!
お母さん達は、御存知かと思いますが、妊娠したかどうか調べる方法に尿検査があります。尿中にホルモンが含まれているかどうか調べるわけです。この方法をチンパンジーにも応用したところ、プラスとでました。妊娠期間は196日〜260日。我々は240日として予定日を1月23日とし、1月17日よりデージーを寝室に収容し、夜間観察を始めたわけです。当番制で1回目、2回目・・・まだなんの柱?もありません。担当の小野田飼育課員は、毎日帰りがけに「今晩はどうだ?」と聞いています。するとデージーは、首をたてにふったり、横にふったりするだけで答えになりません。
デージーにとっては、2回目の妊娠。1回目は、残念ながら昨年の1月4日に流産してしまいました。だから今回は数?とも元気な赤ちゃんが生まれて欲しいと願っています。そして、いろいろなことを思います。五体満足な子供が生まれた後、デージーはうまく抱いてくれるだろうか?群にもどした時、父親のポコやメスのパンジーは何もしないで見守ってくれるだろうか?
来月号の「でっきぶらし」には、たぶんデージーのニュースをお知らせできると思います。
御期待下さい。
(八木智子)