でっきぶらし(News Paper)

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168号(2006年02月)9ページ

病院だより マサイキリン 『リンちゃんの受難』

年の瀬の12月24日、動物園内でもクリスマス一色なこの日、夕方キリン舎に見回りに行くと、なんだか担当者の元気がありません。恋の悩みかな?と思いながら(冗談です)獣舎に入ると、なんだかメスのリンの部屋の横で心配そうな面もちです。「どうしたんですか?」「うーん・・・朝は良かったんだけどね、夕方からリンの歩き方がおかしいんだよ。」「えっ!」。

近くで見てみると、確かに右前脚を地面に着くのを痛がっているようでした。「どうしたんだろう、外でひねったりでもしたのかな・・・」原因は分かりません。翌日になっても跛行が続くので、展示を休止し、投薬しながら獣舎内で安静にすることにしました。脚が長く体重の重い(推定500kg)キリンは、立てなくなれば命取りです。しかも運悪く、より負荷がかかる前脚の負傷でした。

隣の部屋にいるオスのトッポも、柵越しにリンに顔を近づけては心配している様子でした。トッポも5月に同じように前脚を悪くし、1ヶ月以上闘病したのです。トッポのように回復してくれることを毎日願ってやみませんでした。

余談ですが、私はよく動物の夢を見ます。大抵心配している動物が出てくるので、おちおち寝てもいられません(笑)。臨床経験の浅い私に「寝てないで勉強しなさい」という天の声なのかもしれませんね。そんな時は、朝その動物の姿を見て何事もないと、本当にホッとするものです。これは各動物の飼育担当者も同じそうですよ。

さて、リンはしばらくはうまく歩けずにつらそうでしたが、頑張って部屋で療養してくれたおかげで、快方に向かっています。元気になったら、またいつもの笑顔でのびのびと外を歩いてほしいです。

(野村 愛)

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