137号(2000年09月)2ページ
オランウータンのベリー 安らかに
前々回ではローランドゴリラのタイコの死亡、そして前回はゴロンの死と立て続けに大きな姿が、類人猿舎から消え、意気消沈していたのに、またしても今回悲しいお知らせをしなければなりません。
ゴリラ舎の横の住人だったオランウータンのメスのベリーが、11月3日死亡してしまったのです。
彼女は、今から15年前に横浜市野毛山動物園より来園しました。来園当初、2才5カ月の子供、それも人工保育で大きくなった個体でしたから、まずは当園生まれのオスとの同居をさせるため、担当者が間に入って、2頭と一緒に遊びながら、彼らの関係を深め、お互いを認め合う状況にすることから始めなればなりませんでした。
そうした努力の甲斐あって、平成5年3月に待望の赤ちゃんが生まれました。残念ながら人工保育となってしまいましたが、順調に大きくなり、平成8年野毛山動物園に、そして現在よこはま動物園(ズーラシア)で飼育されています。
2番目の子の誕生を楽しみしていたのですが、なかなか出来ず、担当者は毎日基礎体温を測りながら、一喜一憂し、昨年3月おめでたかと思った矢先、流産というアクシデントに見舞われました。
流産という結果だったけど、次は絶対と日頃の飼育管理に努めていたところ、今年1月の生理をきっかけに体調を崩し、それから11カ月間、病と闘ってくれていました。
類人猿班の人達、そして獣医にとって、昨年のゴロンの怪我の治療から始まった病と闘いは、最悪の結果に終わり、両方がいなくなってしまった今、がらーんとしてしまった獣舎を見るのは、とても切なく、辛い思いでいます。
隣りにライバルだったゴロンはいなくなり、ましてや最愛のベリーまでもいなくなってしまったオランウータンのオス「ジュン」のつまらなそうな、さみしそうな姿を見ると、胸が張り裂けそうです。
頑張ってくれたのに助けられなくて本当に、ごめんネ・・・