でっきぶらし(News Paper)

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130号(1999年07月)7ページ

あらかると 「ゴリラの繁殖計画」

 今、日本の動物園では、ゴリラの飼育頭数がどんどん少なくなってきています。
 そこでゴリラの繁殖計画が持ち上がり、上野動物園ではゴリラの森を作って、全国で単独で飼育されているゴリラを集め繁殖を図っています。ですが、いずれの個体も朗報が聞けぬままです。
 当園においても、メスのトトを上野動物園に貸し出すことになりました。担当者の強い思いと願いがやっと実ってです。
 しかし、大変なのはこれからでしょう。ゴリラは見かけによらず神経の繊細な動物で、20年も2頭だけで暮らしていたものが分かれるとなると、そのショックははかり知れません。
 特にオスに強いストレスが出ます。他園の報告例では死亡例もあるほどです。
 7月9日にいよいよトトが上野動物園に旅立つことに。代番の私がトトにつき、担当者はより心配なオスのゴロンのために残ることになりました。
 途中何回か車を止めてもらってトトの様子を見ましたが、何の問題も起きることはありませんでした。
 上野動物園に到着すると、ただちにゴリラ舎への収容作業にかかりました。スムースに部屋に移動、入れてあったワラをいたずらし巣作りしたりする余裕すら見せました。
 私は何もすることがなくなったので、全てを上野の担当者に任せることにしました。トトの、感心する程の素直な接し方には、少なからずびっくりされたようでした。もっとも、日本平動物園では全く逆なことが・・・。残されたゴロンは大変なショックを受けていたようでした。
 それから2ヶ月程経過して、トトは上野に慣れ、放飼場で元気に動き回っているとの報告がありました。
 しかしながら、当園の方ではゴロンは未だにショックを引きずっていて、元の状態に戻れないでいました。食欲不振、担当者の姿が見えないと泣き叫んだりを、以前より少しはましになりながらも繰り返しています。
 なんとか、自分のおかれている状況を理解して、早く元の元気な姿になってほしいと願っています。
(池ヶ谷正志)

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