でっきぶらし(News Paper)

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43号(1985年01月)14ページ

動物園こぼればなし◎がんばれ幼な妻

 隣のブラッザグエノンの一家に負けず劣らず、賑やかになっているダイアナモンキーの一家、そこの末娘にちょっとした異変が起きました。梅雨時を過ぎた辺りより、急にお腹のふくらみが目立ち始めたのです。
 肥満にしてはどうもおかしいし、妊娠を疑うにはちょっと若過ぎる気がしました。5才で生むということは、4才で妊娠したことになります。まさかと思いながらもそれしか考えられず、出産予定日もたてられないままきた8月5日、その末娘はしっかり赤ん坊を抱いていました。程なく授乳も確認、ひょっとしたら人工哺育?の一抹の不安も取り除いてくれました。
 が、小柄な体では、赤ん坊を抱くというよりしがみつかれている感じです。あっちこっちへ移動する際も、他の仲間のような軽快さはなく、ドタッ、ドスン。にわか雨が降れば降ったで、どうも上手にかばいきれず、自分だけではなく赤ん坊の体までぬらしてしまう始末です。
 でも、そばには昨年お姉さんが子を生んで育てた、立派なお手本があります。私たちの心配をよそに、その育児ぶりは日毎に上達してゆきました。ちょこちょこ出歩くようになった子を見守る目は、しっかりした母親そのものです。
 彼女の母親は、5度目の正直でやっと面倒を見るようになった、いわゆるいわく付きのメス。それに比べれば、下手ながら自らの手で育てている末娘は立派。拍手と声援を惜しみません。
(飼育課員 池ヶ谷正志)

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