でっきぶらし(News Paper)

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112号(1996年07月)12ページ

日本平の好記録・珍記録 〜 ワボウシパンシェの長寿記録 〜

(飼育課 金澤裕司)
 日本平動物園では、ワタボウシパンシェを開園以来飼育しています。このワタボウシパンシェはマーモセット科のタマリン属に分類されていてワタボウシタマリンと呼ばれる事もあります。このタマリンの中でワタボウシパンシェだけが“パンシェ”という呼び方をされていますが、その由来は良く分からず、フランス人が最初に呼び始めたとしかわかっていません。また、このワタボウシパンシェの亜属名はラテン語でエディポミダスというもので、これはギリシャ神話に出てくるエディオプスという2人の王様に由来しています。ワタボウシパンシェが王様の名前を貰ったというのは、やはりその頭の純白の毛が王鰍フ様に見える外観のためでしょう。もしかしたら、人によっては王鰍ニいうよりもインディアンの酋長の羽根飾りに見えるかもしれません。
 当園で一番の長生きの個体は、1977年2月25日生まれたメスで、現在も生存していますから当年とって19歳以上になります。これは詳しく調べてみないとわかりませんがおそらく日本国内ではかなり上位に入るような記録だと思われます。(日本モンキーセンターでは年齢不詳ですが16年5ヶ月飼育した記録があるそうです。)当園での他の個体では1976年生れで1994年に18歳で死亡したオスがそれに続きます。
 その一番長生きの個体もさすがに寄る年波には勝てず、昨年の秋に足腰が立たなくなってしまい動物病院に入院しました。
 ビタミン剤を投与したり、加温したりと現在も病院で療養中です。立って歩くことは出来ませんが、四つ脚で這い回っていて、食欲は旺盛です。
 朝、掃除の前に係が覗いて「おはよう」と声をかけるとあいさつを返してくれたりもします。もう野生の世界ならばとても生きて行くことはできないような状態ですが、長い間皆を楽しませてくれた個体ですからゆっくりと余生を過ごしてほしいと思っています。

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