でっきぶらし(News Paper)

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84号(1991年11月)9ページ

さる博士になろう

 今年はサル年。今回はサルについて勉強しましょう。
 霊長類はヒト科をのぞいて次の10科に分けられます。
 まずキツネザルの仲間は、アフリカの東海岸にうかぶマダガスカル島で、さまざまな環境のもとにいろいろな形で進化していきました。小はサル類最小のチビネズミキツネザルから、大は体長一mにもなるエリマキキツネザルまで、生活形態も夜行性のもの、昼行性のもの、地上や岩山をすみかとするもの、深い森林にすむものなど、実にバラエティに富んでいます。
 次にインドリ科があげられていますが、こんなサル聞いたことないとおっしゃる方が大多数だと思います。そういう私もまだ見たことがありません。このサルもマダガスカル島にのみ生息していて、この仲間にアバヒ、シファカがいるそうです。アイアイ科もマダガスカル島だけにいます。
 目が大きく、夜行性のサルの仲間はロリス科に分類されています。当園の夜行性動物館にはこの仲間であるスローロリス、オオガラゴがいます。
 メガネザルは、東南アジアの島々に生息していて、完全な夜行性。餌は主に昆虫で、ヤモリや小さなトカゲなども食べると言われています。
 南および中央アメリカには、マーモセットとオマキザルの仲間が生息しています。マーモセットという言葉は古いフランス語で「小さい子ども」といった意味です。当園にはいろいろなマーモセットを飼育していますが、飼育すればするほどむずかしいといった感じがするサル達です。昆虫が主のものがあったり、樹液を主とするものやらいろいろです。担当の松下飼育課員の苦労は、そういったものを人工的にどうやって作りだしていくかにあります。また、あの小さな身体でだいたい双子、ときに三つ子や四つ子をうむというから驚きです。
 オマキザルは約30種類が生息しており、当園には、リスザルとジェフロイクモザルがいます。オマキザルというとみんな尾を器用に使うように考えがちですが、実際に尾で体重を支えるほどに器用に使いこなし、力のあるのは、クモザル、ウーリークモザル、ウーリーモンキーそしてホエザルの4属12種のサルだけです。
 次に旧世界ザル、すなわちアフリカ大陸と東南アジアに生息するオナガザル科のサルは、さらに二つの大きなグループに分けられます。一つはオナガザル亜科で、ニホンザルなどマカカ属のサル、グェノン、マンガベイなどの仲間、それにヒヒの仲間です。
 もう一つのグループは、コロブス亜科です。この仲間はすべて木の葉を主食としています。当園には、ニホンザル、ダイアナモンキー、ブラッザグェノン、シシオザル、マンドリル、そしてアビシニアコロブスといったオナガザルがいます。
 テナガザルの仲間は、東南アジアに広く分布しています。この仲間は完全な樹上生活者で、枝から枝へ巧みな腕渡りで移動します。食性はくだものが主で、他に木の葉、芽、花などがあります。
 私達、人間には一番ちかいサルといえば、チンパンジー、オランウータン、ゴリラといったオランウータン科に含まれるサル達です。
 まずチンパンジーは、半樹上、半地上生活者で、夜は木の上に巣をつくり、昼は樹上で果実を採食しますが、移動は地上を歩いて行います。チンパンジーには、セネガルからタンガニーカまで広く分布するコモンチンパンジーとコンゴ河の一部にしか生息しないピグミーチンパンジーがいます。チンパンジーは木の実を割る為に石を組みあわせて使ったり、アリ塚からアリをとるのに木の枝を使ったりと道具を作りだす能力があります。
 次にオランウータンについてお話ししましょう。オランウータンは、ボルネオオランウータンとスマトラオランウータンに分けられます。オランウータンは完全な樹上生活者で夜はほとんど樹鰍ノ近いところに巣を作ってすごしています。
 オスは常に単独生活者で、複数のメスの間を徘徊するともいわれています。
食性は、マンゴー、イチジク、ドリアンなどの果物のほかにアリやハチなども食べることもあります。
 最後にゴリラについてですが、彼らは、チンパンジー、オランウータンと違い、完全な地上生活者です。ゴリラは群れで生活しており、ボスの威厳はチンパンジー以上です。
 食性は、ほとんどが地上に生える植物で、木の葉、芽、蕾、枝、根そして竹、野生のセロリなどです。
 このように、サルと一言で言っても現在、10科約160種類のサルが、世界中に分布しています。その環境にあうような形で進化している姿を、一度よーく見て下さいネ。お待ちしています。
  

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