でっきぶらし(News Paper)

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72号(1989年11月)2ページ

一九八九年の話題を追って【フンボルトペンギンの換羽】

 昨年はとにかくフンボルトペンギンがよくかえりました。ロッキーペア(注 ロッキーは、一九七七年当園で初めて人工育すうした個体…オス)もさることながら、くちばしの先が折れたメスもよく頑張っています。前回は育すう途中の二月に連れ合いを失い、やむを得ず人工育すうに。かつ、くちばしがかけてしまう病気にかかっているのでもう駄目だろうと思っていたら、十二月新たな連れ合いとの間に―。
 いやはや、驚くべきバイタリティーです。残念ながらひなは三日後に死亡しましたが、今後になお期待を抱かせます。
 さて、そうして育ったひな達です。彼らの成長は早く、ほぼ一年で一人前になります。そう、過去のケースを見てそう信じていました。
 ところが、です。四羽中三羽までが、一年に二度羽根が生え換わり一人前の証しである“エンビ服”に衣替え。
 ちょっとこむずかしくいいますと、ふつうペンギンは一年に一度、バッと勢いよく羽根が生え換わります。これを一般に「換羽」といいます。
 次にひなの場合、最初は綿のようなうぶ毛で覆われていて、成長するに従ってそのうぶ毛はとれてゆきます。二ヶ月余りでネズミ色の亜成鳥となって、泳げるようになり、かつ自力で餌も取れるようになります。
 で、年が明け、先程説明した換羽を終えると、一人前のペンギンに変身します。そんなに数は多くなかったものの、過去はそうでした。
 とすると、昨年はちょいとどころか、大いに変です。面喰った担当者や獣医、それに関わった人々、他園ではどうなのか只今調査中ですが、その結果は特異なケースなのか、まあまああり得るケースなのか、ぜひとも知りたいところです。

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