でっきぶらし(News Paper)

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72号(1989年11月)6ページ

一九八九年の話題を追って【エンペラータマリンの来園】

 「まあ、えらそう」「わあ、おじいさんみたい。」昨年六月に展示して以来、お客様のこんな声がよく聞かれます。
 ひげがたいそう立派な為についた名前がエンペラー。そう皇帝のような小さなサルと受け取めて頂ければよいでしょう。
 近年、数が減り容易に手に入らなくなっています。原産地からでは、手続きに必要な証明書が例え本物であったとしても、ひと騒動は必至です。
 そんな珍ザルが手に入りました。生まれはヨーロッパ、出所、生年月日、全てはっきりしています。ただ気になったのは、オスが七才と少し年を食っていたことです。
 一般的には繁殖用のオスとして油がのりきっている年令で、放出された理由に?がつきました。メスは二才とまだ若く、これは納得がゆきます。増えて貰い手があると出す、当園とてだいたいこの方式です。
 こだわり気になったのは、すぐ様いじめが生じたからです。夕方、メスに先にバナナを与えようものなら、必ずメスに咬みつきました。極めつきは、顔面の右にがぶり。
 腫れ上がって右眼はきれいに閉じ、失明するかと思ったぐらいです。この時につくづくこいつはトラブルメーカーじゃなかったのかな、それで追っ放リ出されたんじゃなかったのかな、ということです。
 それでも最近は割合に仲よくなり、眼のほうもすっかりよくなってひとまず安心。ただ毛づやが仲々よくならないのは気掛かりですが…。

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