でっきぶらし(News Paper)

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100号(1994年07月)11ページ

「でっきぶらし」百号記念特集 ツチブタ、ピグミーマーモセットの便秘

ツチブタが出産。が、まだ胎盤もできらず、ヘソの緒がついたままの状態でありながら、親はうろうろと落ち着かず、子を引きずってしまう有様でした。子はすぐ様取り上げられました。
子の命を守る為でしたが、後が大変。日本での経験はゼロで、外国の文献に頼るしかなかったのですが、それがまたなんとも悲壮な話。二ヶ月間自力で飲まなかった為にミルクは流し込んで与えた、と書かれていたのです。
しかも、元来、土の中に潜って生きている動物、前足の強さは想像以上のものでした。ミルクを二人掛かりで飲ませたなんて前代未聞。つまり一人はタオルで赤ん坊を包んで前足の抵抗を押さえ、その間にもう一人がミルクを流し込むように飲ませたって訳です。(この苦労話にも後日談がつきます。)
カンチョーしてはいけません。便秘に苦しんだツチブタ、ミルクの飲みも悪くなって恐る恐るやった結果、下痢は止まらず、腸粘膜のはく離まで招いてしまったのです。
幼獣に浣腸してはいけないとは、常々の獣医の言葉。ツチブタの場合、体が大きくがっちりしているので、気をつけてやれば大丈夫との気持ちがあったようです。でも、みるみる内に見せた悔恨の表情、幼獣を育て上げることのむずかしさを改めて思い知らされました。
便秘と言えば、この時私が保育していたピグミーマーモセットの子も同様に苦しんでいました。ミルク便は、普通黄色くてやわらかいのが当たり前ですが・・・
ピグミーマーモセットの場合も哺乳量が増えず、すっきりしない日々が続きました。今回も含めて三度目、私にとって二度目ですが、つくづく百%はあり得ない、いつしか苦汁を飲まされるとの思いにかられました。
生まれた時の体重は十三gから十五gぐらい。最初に飲むミルクの量は0.2〜3cc、いくら経験を積み重ねてもちょっと自信はつき兼ねます。
(第62号・人工哺育抄より要旨抜粋)

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