でっきぶらし(News Paper)

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45号(1985年05月)6ページ

動物園の1年 前編 8月

アカテタマリン、ダイアナモンキーの出産・ピューマ、キングの死
 
 ひとくちにサルと言っても、200種余り。私たちのイメージではとらえ切れないサルも結構います。南米産の通称ポケットモンキーと言われるキヌザルの仲間も、そのたぐいに入るでしょう。おおよそサルらしいイメージがありません。が、れっきとした真猿類なのですから恐れ入ります。
 第2小型サル舎がオープンして、日本平動物園においても多くのキヌザルの仲間が飼育されるようになりました。アカテタマリンもそのひとつです。そして8月22日に待望の出産と相成ったわけです。
 この仲間は他のサル類と比べて、習性や食性に特異なものがあります。オスが子の面倒見のよいのもそのひとつですが、それ以上に食性が問題です。子が育たない、子が産まれない、健康が維持できない、こんな場合餌に工夫が足りないケースが多いのです。
 で、アカテタマリンの子はどうなった!?
 それは、12月の出来事のところで答えましょう。ただ、哺乳に関してだけは問題ありませんでした。
 日本平動物園の悩みのひとつに、世代交替がうまくゆかないことがあげられるでしょうか。それは何処の動物園も持っている共通の悩み、と言えなくもありません。
 ダイアナモンキーは、そんな中で世代交代がうまくゆきつつあります。24日に産まれた赤ちゃんは、3代目だからです。母親は6年前に当園で産まれた個体。父親は他園から来た新しい個体です。ややもすれば近親交配になり勝ちの中で、うまく新しい血が入っています。
 先月より容態が思わしくなかったピューマのキングが、遂に逝きました。強肝剤や抗生物質を吹き矢で打ち込み、治療が続けられていたのですが、容態は悪化してゆくばかりでした。そして、とうとう何も食べなくなってしまい―。
 肉食動物のすさまじい生命力、もともと飢えには非常に強い動物です。喰う気が失せ水を飲むだけで、最後の20数日を行き続けました。解剖所見では、異常があると思われた肝臓は何てことなく、副腎皮質にガンが認められた、と言うことでした。

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