126号(1998年11月)7ページ
1998年をふりかえって◆チンパンジー 相次ぐおめでた◆
今から5年前の10月に札幌の円山動物園より1頭のオス「神威」が来園しました。
実は、開園10周年の記念事業として昭和54年にチンパンジー、ゴリラ舎が新設されました。その時のオスの「ポコ」とメスの「パンジー」「デイジー」の3頭のチンパンジーが東京都多摩動物公園より来園しました。
こうしてこの3頭でチンパンジーの群作りが始まったのです。彼らが来園して翌年から繁殖が見られるようになったのですが、パンジーは自分で育ててくれるものの、デイジーは性格はいいのですが子育てはダメ。4頭の子すべて人工哺育となってしまいました。
そんな状態でも少しずつチンパンジー社会ができつつあると思っていた矢先、平成4年12月にポコとデイジーが相次いで急死してしまったのです。ショックでした。
でも悲しんでいてばかりはいられません。再度群れ作りを考えなければいけませんでした。
そこで、いろいろお願いをして、札幌よりオスをお借りすることになったのです。そしてパンジーとパンジーの子であるメスの「ピーチ」の3頭で再スタートとなったのです。
ところがそう簡単に繁殖がいくものではありません。パンジーにとって神威は「ガキ」、彼女にとって「オス」として受け入れられなかったのです。
そんな状態で居させるのは、どちらにとってもつらいもの。いろいろ考えて、新しいメンバーでの再々スタートに唐ン切ることになり、平成7年12月にパンジーは豊橋に、翌年3月に新しくメス「ヨシミ」と「コニー」が来園し、ピーチを含め4頭での群作りが始まったのです。
待つこと2年、昨年3月にピーチに、そして4月にヨシミに、いずれもメスの赤ちゃんが誕生したのです。
子育て上手な親より生まれたピーチなのに、なぜかお乳は自分が飲むものと勘違いしてしまい、結局人工に。それに引きかえヨシミは立派なお母さんぶりを発揮してくれています。
ピーチの子は「レーナ」と名付けられ、今やお茶の間のアイドル、かたやヨシミの子は「オリーヴ」と名付けられて獣舎内を我が物顔で遊んでいます。皆さーん、会いに来て下さいネ。