でっきぶらし(News Paper)

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126号(1998年11月)14ページ

動物病院だより☆病院の常連さん

 今年の冬は暖かいと思っていたら、年が明けた途端に冷え込むようになってきました。そのせいか入院動物が多く、病院の中は満員御礼の状態になってきました。まあ出産準備のための別居もあるのですが、それでも空いている部屋がほとんど無い状況になってきてしまいました。その中に、毎年冬になると入院してくる常連さんがいます。それはダイアナモンキーの次女の「チャッピ―」で、彼女は人でもよく耳にする糖尿病なのです。最近は人では若年性の糖尿病もあるようですが、チャッピ―は今年で18才で、これは人間でいえばだいたい中年から壮年にあたると考えられます。
 糖尿病では合併症のひとつに循環障害があるのですが、そのせいか寒くなるとチャッピ―は動けなくなって入院するということがここ何年か続いています。それを考えて担当者もなるべく陽のあたる時間が長い場所に獣舎を入れ替えてくれていたりして、「今年は大丈夫かなあ」と思っていました。
 しかし、年明け早々に、朝放飼場に出ていく時、よたよたしていたと聞いて、「もう限界だ。夕方入舎するときに捕獲して入院させよう。」ということになりました。
 昼頃、様子を見に行くとチャッピ―がぐったり横になっていて、これはまずいと即入院となりました。一応、網を持っていったのですが、全く問題なくあっさりと捕獲劇は終了し、病院に運びました。体が冷え切っていたので、暖めてやって、注射を何本かと輸液をしました。その後1時間ほどすると体を起こすようになり、夕方には餌も食べられるようになりました。
 動物園生まれとはいえ、野生動物ですし、群で生活する動物ですから、群から引き離しひとり入院するというのは、精神的なストレスが大きいのではないかと思うのですが、チャッピ―は何度か入院しているとはいえ、とてもリラックスしているように感じます。糖尿病ですから食餌制限はしていますが、ゆっくりと自分だけの餌を食べることが出来て、暖かい部屋でぬくぬくとしていられるのが彼女にとってはとても心地よいようです。人でも普通、病院は嫌いなものだと思いますが、彼女は病院が大好きなようで、冗談で寒くなるとわざと倒れるんじゃないかと言ってるくらいです。
 前回入院した時に適正体重に戻したのですが、また太り気味になってしまいました。とりあえずはもう少し元に体重を戻して、暖かくなったら退院させようと思っています。

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