でっきぶらし(News Paper)

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130号(1999年07月)14ページ

友の会コーナー【日本動物園水族館教育研究会に出席して】

佐渡友章子 
 今回は小田原の「生命の星・地球博物館」で、『地域の生態系』をテーマに行なわれました。最近は環境問題がよく取り上げられるので、それぞれの地域の生態系をどう伝えるのか発表内容に少し期待を持っていました。テーマに沿ったものは期待したより少なかったので残念でしたが、その中から園内の自然を利用した例と、ボランティアを活用している水族館の発表をご紹介します。

1.『自然観察会 夜の昆虫探検隊について』
盛岡市動物公園
 ここでは動物に限らず、園内の自然を利用して、さまざまな自然観察会を行なっているそうです。その中の一つに昆虫観察会があり、園内に生息するホタルや、トラップに集まる昆虫を観察します。この活動には職員の方々のかなりの努力がうかがえます。事前に昆虫を採取しておいたりスライドを用意して、当日子供たちにホタルの光り方や生態を解説したりします。解説するにあたって特に勉強会などはせず、それぞれ独自に本などを見て知識を得るそうです。

2.『園内の自然に関する情報提供の一事例』
富山市ファミリーパーク 
 ファミリーパークはもともと里山などの自然環境が豊富に残っており、それらの自然を活用してさまざまな情報提供をしています。入園者が常に観察できるよう、園内全域の四季を紹介した「しぜんだより」、遊び感覚で植物観察ができる「花さがし」「さがしてみよう大きな木」などの活動を通して季節毎に桜や木の実や紅葉などについて細かく情報を提供しています。また環境の保全だけでなく、園内の小川でサンショウウオを育てるなど、かなり自分たちで工夫を凝らしていました。

3.『ボランティアによる名古屋港の付着生物の展示解説』
名古屋港水族館
 今まで、ボランティアはタッチプールで活動を行なっていましたが、最近はマイクロアクアリウムで、フジツボなどの付着生物の解説を行なうようになりました。
 マイクロアクアリウムでは、ビデオカメラを操作して小さな生物を拡大して見ることができます。ボランティアはビデオの操作や水槽内の生物について説明し、またこれらの生物が名古屋港で生活していることや、それぞれの生物の一生などの解説もしています。
 この活動を行なうにあたり、事前に研修を行なって、付着生物の観察や水槽前での解説の練習などを行なったそうです。

 以上、3つの例をご紹介しましたが、なかでもファミリーパークの情報提供はとても面白そうだと思いました。動物編もあるそうですが、出せる情報をどんどん出して見所を知ってもらったり、そういった情報をクイズラリーに活用することが、リピーターを獲得することにつながるのかな、と思いました。
 また、名古屋港水族館のボランティアの活動は、かなり職員さんの指導が入っている印象を受けました。説明内容などについてほとんどボランティアの自主性に任せている日本平のガイドボランティアとは、かなり趣が違うと感じました。それでもボランティアをしている私としては、こういった発表が出てくるようになっただけでもありがたく、できれば今後はボランティア側から発表者が出ることを期待して、来年は福岡まで足を伸ばしたいと思っています。

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