103号(1995年01月)10ページ
子供動物園 小春日和 「ヤギのサンタロー」
子供動物園一帯を我が物顔でうろつき回る子ヤギ達、断然の人気を誇っています。どんな珍獣も奇獣も、この人懐っこい子ヤギ達にかかったら型なしです。
お客様を見ても、逃げるどころかむしろ近寄り、触りたい、抱きたい、遊びたいの望みを容易にかなえてもらえます。かなり体臭がきつい筈ですが、それを一向に気にかける様子もなく、子ヤギ達を取り囲んで談笑する光景すらしばしば見られます。
中でも、現在の人気者はサンタローと名付けられた子ヤギです。ヤギのオッパイは二つしかないのに、時には三頭も生まれることがあります。どうしても弱いのが出て、人工哺育せねばならないケースも生じます。
サンタローは、そうして育てられたのです。当然人懐っこくなって、逃げるどころかどんどん人に近寄ってゆきます。面白いのは、それが他の子ヤギ達にも与えた強い影響です。
良くも悪くもだんだん図々しくなって、遠慮なんて全くなしです。いたずらも日増しにひどくなり、子ヤギだから大目に、の気持ちも次第に薄らいできます。でも、どこか憎めません。
子ヤギ達との接触ぶりを見ていると、人と動物が心を通い合わせる見事なモデルケースと思えなくもありません。将来を考える上でも、しっかり念頭におかねばならないでしょう。