103号(1995年01月)13ページ
アラカルト 「ジュリー 後を願いつつも」
オランウータンのベリーが、初めての子ジュリーを出産して二年が過ぎようとしています。が、待望している次の子の気配はまだありません。
最初の子はベリーが面倒を見なかったので、人工哺育にしました。このような場合、すぐに次の子を妊娠することがあります。先代のオランウータン夫婦もそうでした。
それが頭をよぎり期待していましたが、甘い考えでした。先代のオスは積極的でしたが、息子のジュンは出産前後二ヶ月ほど別居させた後でも、今ひとつ積極的ではありません。初めてベリーを妊娠させるまでは、しつこく追い回していたのですが・・・。
夏は暑さのせいか、冬は寒さのせいか、それとも生まれつきの呼吸器系の弱さのせいかとも思ってみたりもしました。それは投薬のおかげでだいぶ快方に向かっているし、いったいどういう訳でしょう。
ベリーのほうには別に問題はなさそうです。基礎体温だって、出産後1年は妊娠可能な変化は見せなかったものの、その後は周期的に妊娠可能な体温変化を続けています。
ところが、今年に入って交尾を確認、やっとジュンがその気になったと喜び、なおかつ妊娠時に表れる体温の表示が十日も続いたものですから、すっかりその気になってしまいました。
さあ、獣医に報告しなければと思った矢先に体温は急降下です。空振りのぬか喜びでした。それでも、やっとその気が出ているようなので、とりあえずひと安心です。
といっても、先代のオスに比べるとまだまだ。ジュンに給餌する度、「おい、おやじに負けないようにベリーがうんざりする程、もっとしつこくアタックしろ。」とはっぱをかける日々が、妊娠するまで続きそうです。
子供は天からの授かりもの。ジュンにとっても余計なお世話でしょう。これは私の無理な願望かもしれません。
(池ヶ谷正志)