150号(2002年11月)5ページ
サイの放飼場がぬかるんで〃 飼育課 松下憲行
サイの放飼場の土が減ってきて、新たに土を入れたのはいいのですが、前の土になかなか馴染んでくれません。そこへたびたびの雨が襲いかかります。で、どうなるかって、それはもうぬかるんでどろんこ状態です。
見た感じも不精ったくて、何のため に土を入れた のかと思いたくなるくらいです。腰の痛みに耐えつつ、仲間の協力を仰いで入れたのにと、ちゃっぴり恨めしくもなります。
でも、ここの住人のサイ子、太郎にとっては願ったり叶ったりのようでした。彼らは、実は泥遊びが何より好きなのです。
特に雨上がりの直後などは、ぬかるみはピークの状態です。そんな時の彼ら、朝食の乾草などそっちのけです。
お腹が空いていようが乾草のいい匂いがしようがしまいが、まずは一浴びしなければ収まりません。2トン以上あろう体を横たえて背中をごっしごっしし始めてから、念入りに体のあちこちに泥をなすりつけていき増す。本当に気持ちよさそうです。
後の掃除のことを考えると少々溜息も出そうですが、彼らのご満悦の様子を見ていると、まあいいか、彼奴等が喜んでいるのならそれでいいか、と妙に納得してしまいます。まあ、それが飼育係ってヤツなんでしょう。
一浴びして満足すれば、おもむろに乾草を食べ始めます。一浴びした後は、格別美味しいって思っているかも知れません。
晴れた日が続くと、さすがに放飼場は固まってきます。となると好きな泥遊びもお預けです。二人で雨はまだかなあって、語り合っているかも知れません。
そうそう、この夫婦がカカア天下で、太郎が・・・歩引き下がってバランスが保たれています。従って、夫婦の名を続けて書くときは女性が先となります。太郎が亭主関白になれる可能性は、当分ないでしょう。