でっきぶらし(News Paper)

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155号(2003年09月)5ページ

オランウータン 待望のメス来園

10月27日、ボルネオオランウータンのメス、愛称キャンディ(25歳)が京都市動物園より来園致しました。当園では、3年前にオスのジュンと10数年連れ添ったメスのベリーが病死し、1頭では寂しいということで、2年半程前に多摩動物公園よりメスのジュリー(35歳)が来園しました。それ以来ジュンとジュリーの同居を試みていましたがうまくいかず、なんとか繁殖可能なメスがほしいということで探していたところ、京都市動物園にいるとのことでお願いをして了解をいただき、来園する運びとなりました。

 来園に先立ち、私は京都市動物園にキャンディの飼育状況の確認に行きました。キャンディは担当して一年半位という飼育係の人の言うことにも素直に従い、見知らぬ私がいてもそう興奮することもありませんでした。私は、「これなら大丈夫」という思いを強くしました。ただ1つ気がかりだったのは、放飼場と寝室をつなぐオランウータン用の通路が飼育係用通路の上で、しかも距離が短いということでした。というのも、当園ではその通路は下で、距離も長いからです。それだけが気がかりだと思いながら帰ってきました。

 さて、来園当日。輸送トラックが到着し、その荷台の扉を開けると、キャンディは興奮してブレークダンスをしていました。私達が輸送檻を運び出そうとすると、人の手をつかみにきて大変危ない状態でした。なんとか寝室のところへ檻をつけ、扉を開けるとずぐに寝室に入ってくれました。しかし、キャンディをトラックの荷台から出したとき、右足の太ももの内側に小さな傷があるのを確認しました。それが治りかかってかさぶたができる頃、痛痒いのかそこをしつこくイタズラし、そこは逆に大きな傷になってしまいました。傷のところへ気がいかないようにといろいろと工夫をしてみましたが、イタズラは止まりません。幸い薬はしっかりと飲んでおり、化膿するまでには至っていないようなのですが、これ以上悪くならないことを祈るばかりです。

 来園後、キャンディの生理が終わり発情が来る少し前に、オスのジュンとお見合いをしようという当初の予定通り、この状態の中進めることにしました。これも少しはキャンディの気を散らす一因となってくれたらと思っています。そのためジュンは終日展示せず、キャンディの隣りの部屋で過ごすことになりました。お客様にはオランウータンをしばらく御覧いただくことができませんがご了承ください。ジュンにもつらい思いをさせますが、なんとかキャンディのために頑張ってほしいと思います。キャンディ、皆がお前の元気な姿を青空の下で見られ
る日が来ることを願っているから、ガンバレ!
(池ヶ谷 正志)

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