でっきぶらし(News Paper)

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155号(2003年09月)10ページ

学芸員実習を終えて 【東洋英和女学院大学 濱口麻衣子】

 実習先を選ぶにあたり、最初は美術館や科学技術館なども考えたのですが、やはり幼い時によく行った思い出深い動物園にすることにしました。大学で受講している学芸員資格の授業と実習が同時進行だったため、動物園における学芸員の役割は全く見当がつかず、初日はドキドキしながら門をくぐったことを憶えています。

 実習期間は10日間あり、園内のサイン看板の見直し、個体紹介の看板作り、飼育実習など様々な作業を経験しました。

 園内サイン看板の見直しでは、園内全体を回って、実際にサインのある場所を確認しながら、必要のないサイン、継続して残すサイン、新設するサインを考えていきました。サインは思っていた以上にたくさんあって、破棄すべきか、新設すべきか、何が来園者にとって必要なサインなのか、かなり悩みました。

 個体紹介の看板作りは、とてもよい経験になりました。私はジャガーの個体紹介を作らせてもらったのですが、普通の木の板をジャガーの顔の形に切り抜く作業は、絵心がなく不器用な私にとっては至難の業でした。電動ノコギリを使って木を切り、ペンキで重ね塗りをして仕上げたのですが、電動ノコギリを使うもペンキで何かを塗るのも初めてで、自分の作った看板が来園者の皆様の目に止まることを考えると、かなり緊張しました。

 板ができたら、次にカラフルなシールを文字の形に切り抜いて、名前や体重、生年月日、個体にまつわるエピソードを添えました。このときに難しかったのは配色です。パソコンで幾つか案を考えたのですが、実際に作って見ないと分からない部分が大きかったのです。作っている時は、派手になりすぎたかと心配でしたが、実際に出来上がった看板を外に出してみると思っていたより派手ではありませんでした。日光など外の環境に置いた時の見え方までは全く考えていなかったので、看板を作るためには見易さを念頭において、様々なことを考慮しなくてはならないことを実感しました。

 飼育実習では、子供動物園と熱帯夜行性館でお世話になりました。

 子供動物園には様々な動物がいて小型な動物も多いため、エサ作りや細かい部分の掃除は自分の部屋の掃除より、はるかに大変でした。一番苦戦したのは、掃除に欠かせない水の扱いです。指を使ってホースから出てくる水圧をコントロールしなければならないのですが、どうにも上手くいかず、結局自分に水が掛かってしまい、早くも午前中には服がびしょびしょに濡れてしまいました。

 熱帯夜行性館では主に餌作りをしたのですが、やはり鳥や小動物に与えるエサはかなり細かく切ってあげないといけません。包丁を使う手つきがかなり怪しかったため、飼育の方に手伝ってもらいながらやっていきました。

 その他には、イベントのお手伝い、ゾウの調教見学、トラの赤ちゃんのお散歩などを行いました。イベントの補助以外は、実習をしているとは思えないほどの楽しい時間でした。動物園に実習に来なかったら、体験できないようなことだったのでとても有意義な経験になったと思います。

 私の10日間の概要は以上のようになりますが、書面では書ききれない様々な有意義な経験をすることができました。

 日本平動物園は、ライオン・トラなどの無柵式の展示や、静岡県のほぼ中央部にあるといった立地のよさ、また緑豊かな園内といった様々な長所を持ち合わせており、この先ますます地域に開かれた憩いの場となることを願っています。

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