158号(2004年03月)1ページ
待ち望む出産ラッシュと子育て
今年の春は例年になく異常気象のためか4月に静岡で気象台観測以来初めての31度の真夏日が観測されました。動物園の動物達もこの異常気象に多少ほんろうされています。
春と言ったら新緑の世界もさることながら動物園ではベビーラッシュの時期です。さわやかな気候の中、子育てをするには最適の時期です。シロガオサキとクロミミマーモセットの赤ちゃんも順調に成育しています。最近ではクロミミマーモセットの赤ちゃんは親の背中から時々降り、一人で遊んでいる時間が多くなりました。
リスザルの最初に生まれた赤ちゃんは、群の中での母親の順位が低いためか、上手く子育てが出来ず一時は危篤状態でしたが現在は人工飼育で順調に育っています。2番目の子供は母親にしっかり掴まり、すくすくと、残りの2頭の母親のお腹もだいぶ大きくなり間もなく出産の時期を迎えます。この記事を読者の方々が目にする頃には3頭目ないしは4頭目の赤ちゃんの姿を見ることができるでしょう。
オグロワラビーの子供は母親の袋から出て一人で遊ぶようになりましたが、時々子供が甘えて袋に戻ろうとすると、母親は厳しい態度で袋に入ることを拒んでいます。この子は将来きっと芯の強い子になることでしょう。
鳥類の世界では、フンボルトペンギンの子供達が順調に成育しています。今年3月に東京都葛西臨海水族館から有精卵として譲り受けた3個のペンギンの卵を日本平のベテランの親に抱卵させ(仮親)無事に2羽の雛が誕生しました。
ここから出産が期待される動物達を紹介します。
最初は、ブチハイエナのメス「キラ」。ちょっと専門的なお話ですけど、ハイエナの外生殖器は他の肉食獣と少し異なりメスはロート状の形態をしており、なおかつ、オスのような形態の生殖器もあります。このため外観からの雌雄の判別が難しい動物です。メスのハイエナを導入するときもDNA鑑定を行い、6頭目の検査で初めてメスを見つけることが出来たのです。このため繁殖期に他の動物達のような交尾体勢をするのかも定かではありませんでした。
しかし、今年一月初旬交尾らしき行動を数人の飼育員が確認しており3ヶ月半の妊娠期間を考えると5月下旬には赤ちゃん誕生が期待できます。ブチハイエナの出産は国内でも珍しいため、めでたく出産を迎えたら次回号にて詳細をお知らせします。
次に出産が期待される動物は、レッサーパンダの「ナラ」。今年3月に徳山動物園から来園したオスの「シュウシュウ」と数日間の見合いをした後、4月8日に室内での同居が行われました。同居開始早々、2頭は何と交尾体勢をとり始めました。レッサーパンダの交尾期は1月から3月と短く限られているため、今年は諦め来年に期待をしようと誰もが思っていた矢先の出来事でした。