でっきぶらし(News Paper)

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166号(2005年07月)4ページ

富士登山に行ってきました

私は2年半前、静岡に来た当初、日本一の富士山が大きく見えることに感動したものです。通勤経路を富士山が見える道に変え、毎日ありがたく思いながら大きな富士山を拝んでは「今日も頑張ろう」と元気の活力にしています。今年の夏、そんな富士山に登る機会がありましたのでレポートします。

今回は、山梨県側の河口湖吉田口5合目から登り始めました。6合目まではそれほどの勾配もなく、友人と話しながらスイスイと歩いて行けました。私は初めての登山なので緊張して前日あまり眠れず、バスで5合目まで行く途中ですでに少し頭痛がしていたので、高山病になったらどうしよう・・・と不安を持ちながら登って行きました。登山のガイドさんからは、高山病予防のために休憩ごとのこまめな水分補給と深呼吸を指示されました。

7合目の山小屋まであとわずかというところで、「軍手を用意してください」という声が。ここから、突如として岩場が始まり、急勾配の登山の開始です。目と鼻の先に見える山小屋まで一つ一つ登るのにも、かなりの体力が要りました。ハアハア言いながらよいしょと登る私とは対照的に、小学生くらいの子がひょいひょいと横を通って行きました。

毎日園内で1万歩以上歩いているので、体力がついているかな・・・と思っていましたが、全然足りないようです。8合目の山小屋に着いたのは、6時近くでした。疲れた身体には夕食のカレーライスが美味しかったです。高山病も軽い頭痛程度で済み、ここで休んで明日の頂上での御来光に備えることにしました。
 
さて、ここで一休みしている間に、富士山で会った生き物についてお話しします(これを書かないとでっきぶらしに載せる意味がないですよね)。登山中は景色を楽しむ余裕もなく、もっぱら足元を見て一歩一歩登っていたのですが、そんな岩場にはアリの姿が。アリも高地に順応するんだなぁなんて思ったものです。山小屋で蚊にさされたと思ったのはダニの仕業でした。生き物の話はまた後ほど。
 
8合目を夜中の2時過ぎに出ると、すでにたくさんの人が頂上目指して登っていました。外は雨、時々突風が吹く中、ライトの灯りを頼りに暗い山道を歩きます。ふと気がつくと、雨の中進みながら私はこのでっきぶらしの原稿を考えていました(笑)。靴もライトもレインコートもリュックも、ほとんどの登山グッズを動物園の先輩たちから借りたので、皆に守られているような気がして心強く思っていたからだと思います。

心強いと言うと、初めての登山で登れるだろうかと不安でいた私を、励まし支えてくれた仲間たちの存在はとても大きかったです。一人では絶対登れませんでした。皆で一緒に頂上で食べた豚汁の美味しかったこと!あいにくの霧で御来光どころか頂上から何の景色も見られませんでしたが、頂上まで登れたという達成感がありました。

下りが思いのほか難関で足の痛みに苦しみましたが、途中でふっと霧が晴れ、目の前に雲海が広がり下山道に色とりどりのレインコートを羽織った人たちが多数見えたとき、心が洗われる思いがしました。
6合目あたりまで下ると、それまではほぼ1種類しか見えなかった植物が種類を増し、ゴールの5合目が近づくとウグイスなどの鳥の声も聞こえてきました。

そういえば、以前5合目に行く途中でホンシュウジカに出会ったことがありましたが、富士山にはツキノワグマもいます。生息地は1900m以下だそうなので、標高の高い5合目以上には出てこないとのこと。たしかに5合目より上はだんだんと緑がなくなり、岩場になっていました。ちなみに、外から見るときれいな富士山にもゴミの悩みがあることが知られています。トイレは有料のチップ制(1回につき大体100〜200円)でした。

初めての富士登山はとても大変でした。その分、富士山が見えると「あの頂上まで登ったんだよねぇ」と思えることがちょっぴり嬉しい今日この頃です。悪天候の中、渋滞ができる程大勢の人が登っていました。人はなぜ富士山に登るのか。富士山に負けず、多くの人が何度も訪れたくなるような日本平動物園を目指して頑張ろう!と決意を新たにしたこの夏の出来事でした。
(野村 愛)

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