167号(2005年09月)7ページ
動物園実習だより
飼育実習を終えて
帝京科学大学 佐藤 実由妃
私は、小さい頃から動物園の飼育員という職業に憧れていて、中学のときの職業体験実習のときも、日本平動物園で実習させていただきました。そのときは2日間だけでしたが、とても楽しかったことを今でも覚えています。そして今年の夏休みは動物園で実習したいと思っていたため、楽しかった日本平動物園でもう一度実習させていただきたいと思い、8月の終わりの9日間実習させていただきました。
最初の6日間は動物病院で行い、あとの3日間は、爬虫類、ペンギン、中型サル、アシカなどの飼育をやらせていただきました。
病院では、入院している園内の動物や、保護された野生動物、違法に輸入され保護された動物等の世話を主に行いました。動物病院にいる動物のほとんどは、園内で飼われている動物だけだと思っていたのですが、保護された野生動物も多く、私が実習に行っていた間にも、毎日のようにツバメやハトのヒナが病院にやってきました。やはり野生動物の保護も動物園の大切な役割の一つだということを今回の実習で改めて感じました。しかし、捨てられていたヒヨコが連れて来られてきたときは、すごく残念でした。
病院にいた動物の中に、ホンシュウジカの子供がいて、その子は人にも慣れており、運動のために外へ連れて行くときにはしっかりと後をついて来たり、すごい勢いで哺乳ビンからミルクを飲む姿は本当にかわいかったです。ハトのヒナも、私が傍に行くとピーピー鳴いて、羽をパタパタさせて餌をねだっていて、これらの動物を野生に帰す時はさみしい気もするだろうなと思いました。けれど自分が世話をしていた動物が再び野生で元気に暮らしてくれるというのは、とても嬉しいことだと思います。
病院での実習中には、ダイアナモンキーの尾の手術や、朝の往診の見学もさせていただきました。往診のときは、触ったことのない動物に触らせてもらったり、それぞれの動物の特徴などを教えていただきました。また、普段は見ることのできない寝室にいる朝の動物たちの様子を間近に見ることができました。どの動物のところでも、獣医さんと飼育員の方々との間で、動物のその日の状態等の情報交換がされており、動物の異変に少しでも早く気づくためには、この情報交換がとても大切なことなんだろうと思いました。
また、飼育員というのは、毎日の動物の状態(様子や餌の食べ具合、糞の状態など)を観察することで、動物が出す小さなサインにも気づいてあげることが大切だということを、どの動物の所でも教えていただき、改めてその大切さがわかりました。
私は家で爬虫類を飼っていることもあり、爬虫類には最近特に興味があるため、爬虫類館でも実習させていただきました。爬虫類館は温度が高めに設定されているためとても暑かったです。慣れている飼育員の方でも危険な動物がいるため油断は出来ません。ヘビの部屋を掃除したときには、飼育員さんに大丈夫だといわれても、近づいてくるヘビに少しビクビクしてしまいました。
爬虫類は本当に様々な種類がいるため、まだまだわからないことも多く、爬虫類担当の清水さんも、動物のこと、そしてお客さんのことを考えた上で、試行錯誤しながら飼育方法をいろいろ工夫しているのがわかりました。爬虫類館では、ドキドキ・ハラハラすることがあったり、大変なこともありました。しかし世話をしながらいろいろな発見があり、それだけ勉強になることも多かったです。
ペンギンの飼育をやらせていただいたときには、丁度ホッキョクグマとペンギンのイベントがあったので、自分もそのイベントを楽しみながら、お客さんたちの楽しんでいる様子も見ることができました。今回の実習で、動物園というのは、お客さんに少しでも楽しんだり学んだりしてもらえるよう、動物園側はさまざまな工夫をしていかなければならないのだということも教えていただきました。
実習中は、短い間でしたが本当にいろいろなことがあり、すごく充実していたと思います。私は人見知りをするほうなのですが、病院の方や飼育員の皆さんはとても優しく、楽しい話をしてくれたり、丁寧にいろいろなことを教えてくださり、とても楽しく実習することができました。仕事がうまくできなかったり、迷惑もたくさんかけてしまいましたが、いろいろなことを経験させていただき、とても勉強になりました。本当にありがとうございました。
今回の実習で学んだことは、これから先さまざまな面で活かしていけるよう、がんばっていきたいと思います。9日間本当にお世話になりました。地元に帰ったときにはまた動物園に遊びに行きたいと思います。