でっきぶらし(News Paper)

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169号(2006年04月)6ページ

アムールヤマネコの繁殖

当園では昭和44年の開園以来、それぞれ別々に建てられていた夜行性動物館と熱帯鳥類館を取り壊し、昭和58年に1階に夜行性動物館、2階に熱帯鳥類館を合体させた施設を建設しました。それ以来、ベンガルヤマネコを飼育し、これまでに計7頭の繁殖に成功してきました。しかし、平成4年にメスが死亡し、平成16年には残されたオスも寄る年波に勝てず死んでしまいました。

その後しばらくの間、空白の時が過ぎ、何とかヤマネコの展示を復活させたいと手を尽くした結果、昨年9月末に、東京都井の頭自然文化園よりアムールヤマネコのつがいの2頭を迎え入れることが出来ました。アムールヤマネコは今まで飼育していたベンガルヤマネコの一亜種です。

健康状態の観察とオスメスのお見合いをかねて、展示室内でそれぞれをケージに入れた状態で約1ヶ月間検疫しました。その間に、小玉石を使っての石垣造りの巣穴を完成させ、11月上旬に同居展示を始めました。それからは、飼育担当者が清掃などで展示室に入るとき以外はオスメス共に巣穴に入ることはありませんでしたが、年が明けた1月27日から、給餌時を除きメスが終日巣穴にこもるようになりました。

普通、このような状態になると第一に繁殖(出産)を考えますが、同居してからわずか2ヵ月半で?と半信半疑の思いでいました。もしかしたら出産したかな・・・と淡い期待を抱いていたところ、約1ヶ月後の2月26日に、巣穴からメス親に続いてよちよち歩きの子が姿を現しました。巣穴がよほど気に入ったのか、妊娠期間から逆算しますとハネムーンベイビーの誕生というところでしょうか。以後、日増しに成長し、1日数回巣穴の外に出てくるようになり、1ヶ月経過した頃には立木丸太の最上段まで登るようになりました。

当園にとっては何年ぶりかの繁殖ですので名前を公募することになりました。しかし、まだ性別が判明していないので選考には頭を悩ませました。はるばる東京都から静岡に転居してきて初の子ということなので、静岡にちなんだ名前の中からオスメスどちらにつけても愛称として可愛らしい「ミカン」という名前を選ばせてもらいました。

姿を見せ始めてから1日数回しか出てこず、なかなか姿を目撃できずにいた来園者も多くいたと思いますが、約2ヶ月になった今では日中3、4時間程外へ出てきていますので、これからは成長に伴い、より多く姿が見られることと思います。半年も経てば、親と同様の大きさになるので、親子の区別がつかなくなってくることでしょう。

(渡辺 明夫)

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