でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 175号の3ページへ175号の5ページへ »

175号(2007年04月)4ページ

「知らない世界をのぞいてみたら」

私は、昨年から動物園内にある動物病院で動物の世話をしています。今回は動物病院で初めて働いて感じたことを話したいと思います。

病院には、動物園の飼育動物がケガをしたり病気になったりして入院してきた動物や、野生の保護されてきた動物が入院しています。野生動物も、ケガや病気にかかっていたり、それが原因で衰弱していたりといろいろな原因で保護されてきて入院しています。

その中でも主に鳥類の世話をしているのですが、いままであまり野鳥に目を向けたことがなく、保護されて来る鳥だけでも見た事も聞いたことも無い鳥が多く、自分の生活しているところの周りにはこんなにもたくさんの鳥達がいるのだなと驚きました。

そして、保護してきてくれる市民の方などやさしい人が多い事や、獣医の動物に対する差別なく思いやりのある処置にも正直驚きました。

鳥の種類により、生活環境(山の中、川辺、池、海辺など)が違い、食べている物(木の実、昆虫、魚、小鳥や小動物など)なども変わってきます。なので、その動物に合った飼育方法を考えていかなければならなく、勉強の毎日です。

同じ種類のものでも人間に対する反応(動じない者、逃げる者、威嚇する者など)や、あまり表情の変化などはないが性格(きつい者、温厚な者など)も違いとても面白いなと感じました。興味を持ちその動物について知っていったり、手をかけたりしている内に鳥という生き物に愛着が湧いてきました。
 
中には入院中に死亡してしまう動物もおり、その時には自分の無知さや無力さを感じます。又、働いていて一番うれしい瞬間はなんと言っても保護されてきた動物が元気になり自然に帰っていく姿を見られた時です。

漫画などのように去っていく際に振り返ってお礼をしたりしてくれる事はありませんが、力強く羽ばたいて行く姿を見せてくれるだけでもとても大きなお礼をもらった気分になり、助けてあげられて良かったなと思えました。

一番いいのは保護されてくるような状態の動物がいなくなるのが望ましいのですが、それは無理な話です。

これから春になり暖かくなってくると行動する動物も多くなり、保護を求める動物の姿を見る機会が多くなると思います。少しでも多くの人が動物に興味をもち、やさしく接してあげられるようになれればいいなと思います。
(小川 亨)

« 175号の3ページへ175号の5ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ