でっきぶらし(News Paper)

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177号(2007年08月)9ページ

病院だより 動物達に教わってま〜す

〜一つ一つのおめでたにドラマあり〜

動物園で働いていると、動物の生死に関わることが多く、動物の健康状態に一喜一憂する毎日です。動物達の尊い命を大切に、彼らにできる限り「快適に」一日でも長く「健康に」暮らしてもらいたいという思いから、私達飼育係も文字通り「命を削って」動物の世話をしています。

最近特に思うのは、動物達を通してご来園の皆さんに「命」を伝えるためには、毎日動物達と正面から向き合って真摯(しんし)に接し、命と命をぶつけあう(触れ合う)ことが大切だということです。その分、仕事が終わって家に帰ればバタンキューですが(笑)、喜びも悲しみも動物達と共に実感できる動物園で働けることを本当にありがたく感じながら、毎日頑張っています。

さて、今年も出産ラッシュで様々な動物の赤ちゃんが生まれました。7月には、2日にマレーバクのミライが3頭目の子供を出産。面倒見もよく、すっかりママの貫禄をかもしだしています。ミライは2年前には顎に大きな膿瘍ができて治療を受けながらの出産育児だったので、今回は私達も安心して穏やかな気持ちで見ていられます。

5日には、シシオザルのパセリの子供で4月生まれのハッピーが亡くなってしまいました。もしかすると母乳が十分に出ていなかったのかもしれません。パセリは初産でしたがしっかり子供を胸に抱いて育てていただけに残念でなりません。

6日には、コモンマーモセットの子供が親に育児放棄されてしまい、あえなく人工保育になりました。両親にも子育てを経験しながら勉強していってほしいですね。

同じ日にはアムールヤマネコのハルナが巣穴から出てこなくなりました。数日後には子供の声も聞こえたので、どうやら出産したようです。1ヶ月くらいは子供は巣から出てきません。親に安心して子育てしてもらうためには巣をのぞいて確認するわけにはいかないので、無事の成長を祈りながら期待して待ちましょう。

7日には、シロガオサキのガーコが出産。9日にはカリフォルニアアシカのミディが出産しましたが、死産でした。子供を取り上げた後に、懸命に子供も探すミディの姿は痛ましく・・・。

同じ日に熱帯鳥類館ではヒバリも孵化しましたが、残念ながら数日後に亡くなりました。

10日にはニホンカモシカのムーが3年ぶりの出産。前回は母乳が出ませんでしたが今回は母乳で元気に育っています。やった!

動物の親子に会うなら今の時期が見どころですよ。生き物の命の輝きを感じ取っていただけたら嬉しいです。
(野村 愛)

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