でっきぶらし(News Paper)

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178号(2007年10月)6ページ

マレーバク長男誕生

約396日の長い妊娠期間を母親(ミライ)のお腹の中で過ごし、7月2日、13時20分に第3子目が無事に出産しました。

過去2回では見られなかった物を股間に挟んだ元気な長男誕生でした。体重は、チョット細身の10・3kgでよく眠る子でした。

2〜3日の観察で、あまりにもよく眠るので母乳の出が悪く、そのために衰弱し「元気がなく横たわっているのでは・・・」と心配し、母親の体をブラシでこすり横に寝かせ乳房を絞ったところ乳汁がにじみ出ていました。

さっそく子を乳房に吸い付かせその光景を見て安心しました。私くらい年寄りの飼育員になると、悪い方へ悪い方へと心配してエスカレートしていく自分が滑稽に思えました。

生後2週間で、初めての散歩で放飼場に出しました。母親の後を用心深く短い鼻を器用に動かし外の匂いを満喫しているように慎重な足取りで出て行きました。もちろんいくら水には得意な動物でも落ちて溺れないようにプールの水を抜きました。

案の定しばらくすると水のないプールに落ちました。お客様の反応は飼育をしている私の一番好きな言葉、少し高めで「可愛ぃーイ」でした。私はその「可愛ぃーイ」子を毎日触っていますよ。役得、役得。

生後2カ月過ぎて愛称募集を園内バク舎の前で1週間行いました。応募総数は489票でその中から元気に育つよう、また長生きして子孫繁栄に努めるよう「ゲン」と名付けました。多数の応募ありがとうございました。

父親(シン)とは別居飼育をしています。14時には放飼場に出ていますので見かけたら「ゲンちゃん」と声をかけてあげてください。

誕生した当初は、バクの子の特徴である俗に言う「ウリボウ」で愛らしく目がクリクリとしていました。現在は、親と同じような体模様に変化しつつあります。

当園の獣舎は老朽化が進み、子が成長して大人になると一緒に飼育できない構造になっています。まだ先ではありますが、来年4月頃にはお別れでどこかの動物園にハナムコさんとして出ていかなければなりません。

来年のお別れのことを考えると気が重くなりますが、静岡市立日本平動物園出身の動物として元気に育ってほしいものです。

(川村 敏朗)

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