でっきぶらし(News Paper)

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49号(1986年01月)4ページ

動物の食べ物(第一回)・キジ類

★キジ類

 キジ類は、世界にどれぐらいいるのでしょう。それぞれ少しずつ彩を変えて、何とも言えぬ美しさをかもし出しています。周辺を見渡せば、ニホンキジ、ヤマドリ、コジュケイが、奥深い山々にはライチョウが生息しています。
 又、当園に飼育されているキジ類の種名を聞いただけでも、その種類の多さの一端がうかがえます。パラワンコクジャク、ニホンキジ、アオエリヤケイ、ニジキジ、ヒオドシジュケイ、キンケイ、ギンケイ、アオカケイ…。
 食べる物はとなると、見た感じの丈夫さそのままに、何でもよく食べるようです。穀類を突っつき、虫を捕え、葉っぱ類から果物まで、種によっては、悪食を感じさせるものもいます。特に、放し飼いにされているインドクジャクが、そんな食性の広さを見せてくれます。
 かなり以前のことですが、サワガニ採りの催しを行ない、川原に放したところ、お客様が来る前に彼らが先に目ざとく見つけ、パクッパクッ。肝心な時に数が足りなくなることがありました。
 獣舎の前に何気なくオランウータンの朝食をおいて、五〜六分経ってから戻ってくると、ブドウだけがうんと減っています。あれっと思って周囲を見渡すと、クジャクがそしらぬ顔でとことこ歩いていきます。やられた!!
 驚くは、うんと歯ごたえのある草食獣用のペレットを実にうまそうに食べることです。キリンの餌をじっと見て何をするのかと思えば、その内ペレットをパクッパクッ。さすがにこの辺は強じんな消化機能、砂のうを強ったキジ類です。
 獣舎内にいるキジ類には、養鶏配合(穀類、植物性油カス、動物性飼料、そうこう類等を調合した飼料)に小麦や青米、魚粉、ボレーに青菜を細かく刻み、それらを混ぜたものが与えられています。ちょっぴり厚遇を受けているのがパラワンコクジャク。一週間に一回程リンゴを貰っています。
 もっとも、これらの餌はキジ類だけのものではありません。ちゃっかり便乗組がいるのです。園内のスズメ達がそうで、各部屋を覆っている金網も、むしろ彼等にとっては好都合。自らの特権を行使する仕切りになっています。スズメだけが出入するのにちょうどよい広さなのです。
 飼育係が入ってくる時だけはしばらく遠慮し、後は我物顔。キジ舎の中で寝るも食べるも好き勝手です。でも、まあ、彼等も野鳥のひとつ。カラス程悪さをする訳でもありませんから、致し方なしとして黙って見るしかないでしょう。

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