189号(2009年08月)3ページ
ようこそゴマちゃん! アザラシがやってきた
6月9日、動物園に新しい仲間が北海道からやってきました。
ゴマフアザラシのソウヤ(オス)とシズ(メス)です。6月4日に開港したばかりの静岡空港を利用して初めて来た動物ということで、TVのニュースや新聞でご覧になった方もいらっしゃると思います。
2頭のふるさとは、北海道の中でも北の北、稚内市にあるノシャップ寒流水族館です。移動は、まず稚内から札幌まで水族館の職員の方に車で連れてきていただきました。
新千歳空港から飛行機に乗って(もちろん座席には座っていませんよ〜スペシャルボックスに入ってきました)、静岡空港へ到着。飛行機を降りてきたときはお疲れ気味な顔をしていましたが、水や氷をあげると元気に飲んでくれて一安心しました。
「ソウヤくん、シズちゃん、こんにちは。静岡のみんなが待っていたよ。これからよろしくね」
空港からの道中は車で移動です。アザラシは寒い地域に住んでいるため暑さに弱いので、車の冷房はガンガンにきかせて準備しておきました。約1時間、静岡らしいお茶畑の風景の中も通りながら、動物園に向かいました。
無事動物園に到着後、簡単な身体測定をしてから、これから生活するアシカ横のプールに運びました。入っていたケージの扉を開けると、もぞもぞと外に出て、水に入る前に少し停止。何か考えたのでしょう。
「ここは・・・どこ?」「入っても・・・いいのかな?」それからゆっくりとプールに入りました。入ると、まさに「水を得た魚」(魚じゃないけどね)。元気良く泳ぎ回って、私たちを安心させてくれました。
初日はほとんど魚を食べませんでしたが、2日目、3日目になると少しずつ飼育担当者のそばに近づいてきて、3日目の午後、初めて手から魚を受け取って食べてくれました。
感動!現在は、オオナゴ(北海道からのお取り寄せ品!)とサバを食べています。元気にこの夏の暑さを乗り切ってもらいたいと思います。
さて、この2頭はどちらも昨年の3月末生まれで、まだ1歳の子供です。将来は夫婦になる予定ですが、今はまだ仲良しのお友達という感じです。
しかし、ごはんの時間になると、どうしても食べたいときは、相手を前肢(ひれ)で押しのけようとする仕草が見られ、来園者の皆さんの笑いを誘っています。
最近では順番を話し合ったのか、交互に食べにくる時もあります。ソウヤは何匹か食べてから水の中に戻りますが、シズは一匹食べては後ろにのけぞって水の中に入り、また来て食べてはのけぞって入り・・・を繰り返します。
そんなに頭を打って大丈夫なのかな、と見ていて心配になりますが、彼女はいたって平気です。水の中にいたまま魚を食べたいな、という時は、陸地に上がらず水面で背伸びして魚をもらおうとします。その時、後肢をユラユラと左右に振りながらバランスを取る姿は、「人魚」にそっくりです(人でも魚でもないけどね)。
ガイド給餌は15時前後に行っていますので、見てみてくださいね。
ソウヤとシズは、来年春には新しい猛獣館に引っ越す予定です。今とは違った展示になりますので、ますますアザラシを身近に感じることができるでしょう。楽しみにしていてください。
アザラシの最新情報は、アザラシプール前の情報看板でもご覧いただけます。何度も足を運んで、2頭の成長を見守ってくださいね。
(松下 愛)