でっきぶらし(News Paper)

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190号(2009年10月)4ページ

動物園実習だより

日本大学生物資源科学部 
獣医学科5年 印具 愛華

8月19日から24日の5日間、日本平動物園で実習させていただきました。

実習中は、動物病院の獣医さんについて園内の動物を見て廻ったり、病院に入院している動物の治療や世話、園内イベントなど、様々なことをやらせていただきました。
 
中でも、毎日朝と夕方に、獣医さんが園内の動物を一頭一頭見て廻るのには驚きました。飼育員さんだけに動物の観察を任せてしまうのではなく、自ら見て廻ることで、普段見慣れていて分からないような些細な動物の変化にも気付く事ができると思います。

そして何より動物たちに獣医さんの顔を覚えてもらい、動物との信頼関係を築くことで、治療も円滑に進める事ができるのだなと感じました。
 
特にチンパンジーなどの霊長類は、見知らぬ人にとても敏感に反応している事が強く感じられました。私が実習した期間はちょうど猛獣館の新設工事が進められており、さらに大きな地震が重なったことで、チンパンジーやオランウータンが餌を食べなくなっていました。

このことで私は、野生動物の扱いはとてもデリケートで、日々の観察がいかに重要なことであるのかを実感しました。

何か問題に突き当たるごとに飼育員さんや獣医さんが一緒になって試行錯誤し、動物にとって出来るだけ居心地のよい環境に変えていくということは、とても難しいけれどやりがいのあることだと感じました。
 
また、飼育員さんの餌の与え方にも驚きました。入院している動物には食べて体力を維持させる必要があるため、特に注意して餌を与えていました。
 
例えば入院中のコモンマーモセットには、本当にたくさんの種類の野菜や果物をとても細かく刻んでやり、時にはミルクでふやかして嗜好性を上げたりしていて、少しでも多く食べてもらいたいという気持ちが伝わってきました。
 
今回は、実習期間中に手術や解剖といった獣医学的なケースにはあまりめぐり合わなかったのですが、その分飼育員さんや獣医さんに動物たちの寝室を見せていただいたり、それぞれの動物の性質や飼育における工夫など、本当に色々な話を聞くことができ、その話を聞くことによって自分自身の動物の見方が変わったりして、とても興味深く実習を行うことが出来ました。
 
動物病院の獣医さん、飼育員さんをはじめ、動物園すべてのスタッフの方、今回は短い間でしたが本当にありがとうございました

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