でっきぶらし(News Paper)

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194号(2010年06月)3ページ

≪ガイドボランティア報告≫動物園親子教室スタート

 「それでは、今日はみんなと一緒に、この動物のお勉強をしますね」。
そう言いながら取り出した画用紙には、黒くて太い足が2本だけ描かれていました。どうやら後ろ足らしいのですが、お腹も腰も真っ黒です。部屋に集まった20人ほどの子ども達とその親御さん達が「なんだこれは?」といった顔で見つめます。「ゴリラ…かなぁ」といった自信なさげな声。
 「もう1枚見てみましょうか」。
 次に出てきたのは、どうやら前足です。こちらも黒くて太い足。四つ足で、ぽっちゃりした動物。足の太さと短さから見て、あまり大きな動物ではなさそうです。お腹から胸にかけて全部真っ黒なのですが……、ちょっと待って、よく見ると胸の上にオレンジ色の部分が見えます。あれは何だろう?
 「わかった、レッサーパンダだ!」
 突然、子どもが叫びました。もう分かっちゃったの?と思いつつ、「レッサーパンダ?どうだろう?」ともったいぶって、3枚目をめくりました。オレンジ色の背中と、茶色と黒のしましまの太いしっぽ。これならもう分かりますよね。最後の1枚に描かれていたのは、もちろんキュートなレッサーパンダの顔でした。
 「そう、レッサーパンダでした。すぐ分かっちゃったね。拍手〜!!」
 会場は、ボランティアと親御さんたちの拍手と笑い声に包まれました。
 私たちガイドボランティアは、今年度から新たに「ふれんど班」を立ち上げ、静岡市動物園協会主催のもと、動物園親子教室を始めることにしました。毎回20組ほどの親子が集まり、絵本や紙芝居、クイズや工作を通じて、その回ごとのテーマの動物を学びます。参加希望者が多かったので、2か月ずつ同じ内容を実施し、偶数月コースと奇数月コースに分かれて参加してもらう形にしたのですが、それでもあっという間に定員に達してしまいました。これまでに、4月・5月の2回を実施したのですが、皆さんとても熱心に参加してくださって、実施する私たちの方が圧倒されるくらいです。
 4月・5月のテーマはレッサーパンダで、なんと、日本平動物園のオリジナル紙芝居が登場しました。でっきぶらしのイラストを書いている高見洋子さんが絵を担当してくださった素敵な紙芝居です。日本平動物園でのレッサーパンダの生活はもちろん、ちょっと難しい動物園の役割などの話を分かりやすく書いていて、幼稚園・保育園の年中さんくらいの子ども達がしっかり聞いてくれました。
 紙芝居の後はクイズ。「レッサーパンダは暑いのと寒いの、どっちが苦手?」と質問します。紙芝居の中で、部屋にクーラーが付いていたことを覚えていた子どもには簡単なクイズです。そして、レッサーパンダのふわふわの毛を集めた箱の中に手を入れてもらうのです。他にも、食べ物(竹やリンゴ、ペレット)や得意なこと(木登り)、どこから来たのか(中国)なども聞いて、実際にレッサーパンダが食べた竹の枝を見せたりしました。
 続いて工作。今回は紙皿やリベットを使って、ゆらゆらと動くレッサーパンダの起きあがりこぼしのような物を作りました。
 最後に園内に出て、飼育員さんのお話を聞きました。飼育員さんは、レッサーパンダのご飯と、竹の葉を食べた後のウンチ(笹団子みたいな匂いがする!?)を見せてくれて、「レッサーパンダは何が好きですか?」「何頭いますか?見分け方は?」「いつ頃起きていますか?」といった質問に答えてくれました。
 この親子教室を実施する「ふれんど班」の主体となったのは、長年、友の会を支えてきたボランティアのメンバーです。日本平動物園の友の会は、発足から30年以上も活動してきましたが、最近は、提供できる内容と参加者のニーズや年齢層とのギャップに悩んでいました。そこで今回、思い切って対象層を限定し、「おおむね4歳の子どもと保護者」をターゲットとした親子教室を実施することにしたのです。
 とは言え、このような年代を相手に教室を行った経験はほとんどありません。そこで私たちは、4月の開講(?)に先立ってワークショップも行いました。参加者の皆さんのアンケートをもとに本番の内容を組み立て直したりしました。
 実際に4月・5月とやってみて、予想以上の親御さん熱心さと、子ども達の集中力に圧倒されています。開始時間の10分前に全員集まってくれたり、ちょっと難しすぎるかな?と心配しながら用意した内容にラクラク付いてきてくれたりするのです。自由に動き回りながらもちゃんと話を聞いてくれて、熱心にあっちに手を出し、こっちに口を出す子ども達に接するにつけ、実施してとても良かったと感じています。
 次の回も、その次の回も、もっともっと面白くて充実した教室にしなくてはと、いろいろと悩みはつきません。最初の1年はいろいろな準備に追い回されそうですが、そんな慌ただしさも、動物や動物園が大好きな子ども達のためだと思うと楽しい限りです。
まだまだ始まったばかりの教室で、これから何が飛び出すか、やっている私達にも実は分かりませんが、ぜひよろしくお願いします。
(ガイドボランティア 佐渡友 陽一)

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