194号(2010年06月)5ページ
スポットガイドだより
≪3月21日 シロサイ≫
三月の下旬、まだまだ寒い日が続きますね。春の季節までもう少し。今月の第三日曜日にスポットガイドが行われました。
今回はシロサイのお話です。担当飼育員の渡辺さんが解説してくれました。シロサイはアフリカのザンベジ川以南の南アフリカとナイル川以西のアフリカ北東部に棲んでいること。体重は2トンにもなり、開けた草原に5〜7頭の群れをつくって暮らすこと。
そして、寿命は50年ほどで、なわばりを持つ習性があり、他の群れに知らせるため、その周りには、糞の山が20〜30カ所できているそうです。サイの角は皮膚が変化したもので私たちの髪の毛やツメのようなものだそうです。昔から、サイの角は高価な漢方薬とされていましたが、実際にはそのような効果はなくただの角みたいです。
しかしながら、その角をとるためにサイは次々と殺され、生息数が激減したとのことでした。現在は法律で保護されており、数は少しずつ増えているのですが、密猟が絶えないなど、絶滅の危機に瀕した深刻な現状の話もありました。密猟はいけませんよね。
皆が動物を愛し、自然を愛し、環境を守る意識を常にもって次の世代にも伝えていかなくてはいけませんね。最後に参加者の皆さんは、袖に展示していた角の見本を実際に触れてみて「わ〜っ。大きいな〜。」と喜んでおられました。
≪4月18日 猛禽舎 コンドル・ヒゲワシ・ハクトウワシ≫
4月に入り、園内のサクラも満開で色鮮やかとなりましたが、今年の気候はわがままなのか暖かかったり、寒さがもどったりと、服を選ぶのにも気をつかいましたね。読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか?
3月下旬猛獣館がオープンしてからというもの、当動物園にお越しいただいたお客さまの数も「キュ〜ン!」と右肩上がり。祝日、そして週末は新緑に包まれた園内を老若男女が楽しそうに動物のお話で盛り上がっていました。そのような中で、恒例のスポットガイドが始まりました。
今月は、あの猛禽類たちです。そうです、コンドル、ヒゲワシ、ハクトウワシです。担当飼育員は長谷川さんです。それぞれの動物について丁寧に解説してくれました。
どれも面白い話でしたが、いくつかご紹介しましょう〜。コンドルは、翼を広げた時の面積は鳥類の中で一番大きいこと。飛行については、「パタ!パタ!」と、羽ばたくよりも、風の流れを読み、ある程度の高さになったら、上昇気流を利用して滑空飛行が得意とのことでした。
飛べるものなら、皆さんも優雅に飛んでみたいですよね。頭部に羽毛がない理由は獲物を漁っているときにそれがあったのでは、不衛生になるからだそうです。まー想像は付きますが、改めて進化とは凄いものですね。
次にヒゲワシのお話でしたが、こちらは獲物を食べるときに、それをつかみ高い空より落とし粉々に砕かれた骨や肉を食べる習性があるそうです。当園のヒゲワシはその本能からか、お気に入りの石を骨に見立てて高い場所から下に落として遊ぶそうです。ちなみに、マイストーンは4つあるそうなんです。ご存知でしたか?
そして、野生でのコンドルとヒゲワシはどちらも大型動物の死肉を好むそうですがその食べ方の知恵といいましょうか違いには皆さん関心しておられました。また、ヒゲワシの国内飼育は当園だけとのことでした。
最後にハクトウワシの解説があり、アメリカの国鳥であることや、メスは静岡市の姉妹都市であるオマハ市ヘンリードーリー動物園から2002年に寄贈され、まだ若いオスは2006年生まれで北海道の釧路市動物園からこちらにきたということです。
こちらの主食は魚なのですが、むかし、餌となる魚の農薬による汚染やポリエンカビフェニル (PCB) による汚染などにより激減したけど、継続的な保護活動により現在は順調に回復してきているとのことです。当園で与えている魚の種類はニジマスだそうです。あとは、馬肉や鶏頭の肉類とのことでした。視力はとても優れていて、野生では1000メートル上空から5?範囲の獲物を急降下で襲う。など狩りの方法や優れた能力についての解説がありました。参加者の皆さんは最後まで熱心に聞いてくださいました。ありがとうございました。
スポットガイド班 班長 夜行性館飼育員 青木 光生