201号(2011年08月)4ページ
ヤギたちに会いに来て!
4月からヤギ担当になって数ヶ月。もともと人に対して愛想のいいヤギたちですが、最近は特に慣れてきてくれたなと感じています。
春から夏にかけての暑くなっていく時期は、抜け毛の季節です。金属製の丸いくしで毛をすく(ブラッシングする)と、冬にたくわえていた毛がごっそり抜けていきます。ブラッシングするために寝室に入ると、好奇心旺盛なヤギたちは「何?何?」と興味津々。目当ての子を捕まえてブラッシングを始めますが、一部のヤギが邪魔をしてきます。
真っ黒な顔に目の上だけ白いアイラインのハナさんと、白黒のまだら模様にすらっと細い角のララさんは、邪魔に入る代表格です。
人への興味が強い彼女たちは、私の身につけているものをなんでもかじろうとします。ポロシャツの裾に始まり、ズボンのポケット、名札、トランシーバーのアンテナもかじられました。ポニーテールに結んでいる私の髪の毛までむしゃむしゃとやられた時には、さすがに慌ててしまいました。ヤギの前歯は下あごにしか生えておらず、髪を噛み切られてしまうようなことはありませんが、ハナとララの好奇心の強さには時々困ってしまいます。
また、ブラッシングされるのが大好きで邪魔をするヤギもいます。1頭だけのオスヤギ、イチくんは、同居ヤギのマロンおばあちゃんがブラッシングされていると、私とマロンの間に入り込んできます。マロンが嫌なことをされるかもと考えて助けに来たのか?とも思いましたが、イチの、「ぼくが先!」と言う声が聞こえてきそうな表情を見ると、頭の中はブラッシングしてもらうことでいっぱいのように思えてしまいます。
ふれあい動物園のヤギたちのように、ヤギと人は大昔から仲良しでした。野生のヤギが家畜として人間と一緒に暮らすようになった歴史はとても古く、家畜化された最初の動物のひとつと言われています。ヤギは、他の家畜では餌にならないような質の悪い草や木を食べて栄養にすることができます。そのため、草木の少ない場所でも飼うことができ、そういった場所で生活する人々にとってはありがたい存在でした。
食べることが大好きなヤギは、食べたい葉っぱのためなら木登りだってしてしまいます。現在のふれあい動物園ではそんな活発な姿をあまりお見せすることができませんが、15時ごろに運動場から屋内に入る時、餌に向かってわき目も振らず走っていく姿を見れば、その勢いで木も登ってしまいそう、と感じられるかもしれません。
先に紹介したハナ、ララ、イチ、マロンの他にも、ふれあい動物園には愛嬌たっぷりのヤギたちがいます。全部で11頭のヤギたちはそれぞれ個性的で、見ていて飽きることがありません。黒や白、茶色といった色のまざった模様がそれぞれ違うので、運動場に貼ってある写真と見比べれば、すぐにそれぞれの名前が覚えられるかもしれません。真っ白なヤギも3頭いますが、首輪の色で見分けることができますし、よく見ていると顔も違っているとわかります。よーく観察してみんなの顔と名前を覚えたら、11頭の中から自分のお気に入りヤギを見つけてみてください。見分けられると見ているだけでも面白いですが、お気に入りヤギとふれあえたらもっと好きになってしまいますね。
のんびり寝そべるヤギたちと一緒に、ふれあい動物園でのんびりしてみませんか?
飼育担当 鈴木 直美